第1部
アッサラーム〜イシス
砂漠の町
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させるため、頭の中でシミュレーションしながら続けていく。
やがて自分が納得できるくらいに形になった頃、こちらに近づく気配がしたので何かと振り向いた。
「朝から熱心だな」
「ナギ! どうしたの? こんな朝早く」
そこに現れたのは、意外にもナギだった。だけど、なんとなくいつもより顔色が悪い気がする。
「ああ、なんか目が冴えちまって、散歩でもしようかと思ってさ。お前こそ早いじゃん」
「私も寒くって目が覚めちゃったから、体を暖めるついでにトレーニングでもしようかと思って」
「へえ、お前も堅物勇者も真面目だな」
「ナギもユウリがトレーニングしてるところ見たんだ?」
「ああ、うっかり目に入っちまった。まああいつ、あれ毎朝の日課みたいだけどな」
「毎朝やってるの?!」
「そうみたいだぜ」
全然気づかなかった。普段でさえ町やダンジョンを行き来したり、魔物と戦ってたりするのに、あんな朝早くからトレーニングしてるなんて、一体いつ寝てるんだろう。
「オレも時々するけどさ、絶対あいつの方が先に起きてんだよな」
悔しそうに言うナギ。ちょっとしたことでも負けたくないという気持ちが彼にはあるらしい。
「私も、絶対自分が一番早いと思ったんだけど、それより先にユウリがいたからビックリしたよ。そうだ、ナギも一緒にトレーニングする?」
「あー、いや、今日はなんかそういう気分じゃなくてさ。ちょっと散歩したら戻る」
「大丈夫? 顔色悪いみたいだけど」
「ああ。心配してくれてありがとな。なんか、お前の顔見たら安心した」
「え?」
急にそんなことを言われたので、ドキッとしてしまった。けど、どことなく無理をしてる雰囲気に見えるのは、気のせいだろうか?
「あの、無理しないでね。今日は私とシーラで町を廻るから、体調悪いなら一日宿で休んでなよ」
「大丈夫大丈夫。それにあいつ……シーラの方が無理してる気がするし」
そう言えば、昨日の砂漠での様子も、いつもと違っていた気がする。ナギも気づいてたんだ。
「シーラ、何か悩んでるのかなあ。ナギ、何か知らない?」
「さあ。お前が知らないってんなら、オレらはもっとわかんねーよ。あいつと一番仲いいのはお前だろ」
「うん……。でも私が相談に乗るって言った時も、シーラは笑ってただけで何も言わなかったし、何か隠してる気がするんだ」
私が眉を下げてそう言うと、ポンと私の頭に何かが置かれた。見上げると、ナギが半ば呆れたような笑顔で私の頭に手を乗せていた。
「ホントお前って、そういうの気にするよな。だからあの堅物にいいように扱われるんだ。周りを見るのもいいけど、もっと自分を大事にしろよ」
「う、うん……」
そういうナギも、気づけば私を含めほかの人にも優しく気遣っているように見え
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