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神機楼戦記オクトメディウム
第23話 現ならざる地
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ミヤコさん!」
 駆けつけるや否や、姫子はそう声高く呼び掛ける。
 彼女と千影の二人を見ながらミヤコは忌々しげにポツポツと言う。
「忌まわしき巫女どもめ、お前達さえいなければ……」
「ミヤコさん、聞いて下さい」
 憎しみの言葉を漏らそうとするミヤコに対して、姫子はそこで彼女に言いたい事があるので、それを口にするのであった。
「ミヤコさん、あなたの事を調べました!」
 そして、姫子はその内容を説明していく。
 曰く、ミヤコはとある孤児院で身寄りの無い子供達を養っていたのであった。
 その日々は彼女にとってとても充実した毎日なのだった。だが、その平和は長くは続かなかったのだ。
 ある日の事、彼女の経営するその孤児院にて食中毒が起こってしまったのである。
 不幸中の幸いというべきか、皆命に別状は無く、その後元気になったのだ。
 しかし、その食中毒を起こしたのが調理師である事であっても、ミヤコはその責任を取ってその孤児院を閉鎖するに至ったのだ。
 その後は、彼女の心の中にポッカリと穴が開いたような虚無の気持ちだったのである。
 そこまで語って、姫子は可能性の高い推論を出す。
「そこで、あなたの場合は邪神そのものからのコンタクトがあったのでしょう?」
「……」
 その姫子の言葉を聞きながらミヤコは無言となっていた。
「でも、今からでも新たなスタートを切れると思います。だから、邪神になんか心を奪われないで下さい!」
 その言葉は姫子の出来る限りの本心をぶつけた言葉であるのだった。これで、ミヤコの心が動いてくれれば……。
 だが、現実は非情であるのだった。
「勘違いしてもらっては困るわ、お嬢さん! 私はね、邪神からのコンタクトがあって、その力が私の中に流れて来た時、とても充実した感覚だったのよ! だから、今の私は邪神に身も心も捧げるのが生き甲斐となっているのよ!」
「そんな……」
 説得が出来そうもないと知ると、姫子は落胆し、それを千影が宥める。
「やはり邪神の力は根強いという事よ。姫子の優しい気持ちは分かるけど、ここは実力行使に出るしかないという事よ──お互いにね」
 その千影の言葉が真実である事を証明するかのように、ミヤコは高らかに唱える。
「まだ全ての鍵が揃っていないけど、仕方ないわ。では出でよ! 『邪神ヤマタノオロチ』!!」
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