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神機楼戦記オクトメディウム
第23話 現ならざる地
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の者──『翼』は感情の読み解くのが難しいような、淡々とした口調で言葉を返すのであった。
 そして、暫しの間そこには沈黙が走っていたが、やがてそれが破られる事となる。
「姫子さん、千影さん。ここです!」
 その声はミヤコが待ちに待った大神士郎の到来であるのだった。だが、同時に彼女には予想していなかった言葉が耳に入っていたのである。
 ──その口ぶりからすると、巫女どもが一緒にいるという事か。いや、それだとおかしい。
 そう思ってミヤコは聞き間違いだろうと流す事にしたのであった。何故なら、彼女の頭の中には、この場には大邪衆となった大神士郎ただ一人の到来だけであるのだから。
 しかし、それは取らぬ狸の皮算用というものであるのだった。その事をすぐに彼女は思い知らされる事となるのであった。
「な……に!?」
 ミヤコが耳にした台詞に手違いは無かったのであった。そこには士郎の他に二人の月の巫女がいたからである。
 しかも、その士郎の髪は自身が予想していた金髪ではなく、透き通るような白であったのだから。
 つまり、これが意味する所は……。
「くっ……! 大神士郎を大邪の眷属にする手筈が!」
 そう言うとミヤコは血相を変えて翼に向かって言う。
「翼様。申し訳ありません、予定が変わりました。どうか私がこの席を外す事をお許し下さい!」
「構わない」
 その主の許可を得たミヤコは空気が流れるかのような身のこなしでこの『王の間』を後にするのであった。
 勿論、それを逃す三神器組ではなかった。
「姫子さん、千影さん。あの人はあなた達に任せる。俺は『この人』と向き合わないといけませんから!」
「分かったわ!」
「士郎君も気を付けてね! これはあなたにとって避けて通れない事みたいだから!」
「ああ、済まない二人とも」
 巫女二人はそう言うと、士郎一人を置いて行くのを心許ないと感じながらも、ミヤコの後を追う事に決めるのであった。

◇ ◇ ◇

 そして、突如としてあの場から離れて単独行動を取ったミヤコは、この居城の地下へと来ていたのであった。
 そこは、天井から縦幅も横幅も広い、とにかくだだっ広い空間が展開されていたのである。そんな部屋の奥には厳重そうなこれまた巨大な機械仕掛けの扉が存在していた。
 このような物々しい空間にて、良からぬ事をしでかそうとミヤコは何やら独りごちていた。
「……まさかね、『このお方』を今解放する事になろうとはね……。まだ期は熟していないのに……。でも、もうこうなっては背に腹は変えられないわ」
 そう言うミヤコの手にはリモコンのような物が握られていたのであった。無論、これで何かを起動させる算段であろう。
 だが、それを行う前に巫女二人はこの場に辿り着いたのであった。
「漸く追いつきましたよ、シスター・
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