”Liar mask”
[4/4]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
、思いもしなかった」
「そっか……」
可奈美は天井を見上げる。赤黒い空間はとても静かで閉鎖的で。世界には、自分とアカメだけしかいない錯覚にも陥る。
「……ねえ。一つ、お願いしてもいい?」
「何だ?」
可奈美の視界の端に、紫の粒子が映る。キラキラ光るそれは、地上に落ちた星を眺めているようだった。
「もし……さ。また会えたら……友達になってくれない?」
「友か……」
それが無理な話だと、可奈美自身にも分かっていた。だが、アカメとの沈黙を許しておけず、言葉を継ぎ足す。
「そう。……そうだよ!」
思わず、アカメの腕を握る。鍛えられた筋肉の腕が、可奈美にアカメの存在を確固たるものにする。
「そうしたらさ。私、アカメちゃんに毎日試合を申し込むよ。アカメちゃんの太刀筋、もっと見たいから!」
「……そうか」
今度は、アカメの体が軽くなっていく。背後を向いたままの腕が、どんどん感覚が薄くなる。
「殺しではない、試合としての剣か……それはとても……楽しそうだな」
「うん。きっと楽しいよ。だからさ」
その言葉は、可奈美が多くの対戦相手へ口にした言葉だった。
いい試合をして、また再戦を誓い合うその言葉。
これまでも、そしてこれからも、破られたくない約束のためのその言葉。
___今度。また、試合しようね!___
それがアカメに届いたのか否か。それは分からない。
支えを失った可奈美の体は、ぐったりと仰向けに倒れた。紫の粒子が可奈美の風圧に吹き散らせながら、可奈美の頭上より昇っていく。
「アカメちゃん……私が戦った、最高の……
少しずつ薄れていく粒子たちを最後に、可奈美は意識を手放したのだった。
ガルーダがその頭上を心配そうに旋回していることなど、可奈美が知る術もなかった。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ