”Liar mask”
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
同時に、千鳥と村雨がぶつかる。ほとんど同じタイミングで繰り出された、互いの技。角度も、速さも、全く同じ。
結果を分かつのは、その重さだった。
「あ……」
その手を離れた千鳥が、キリキリと宙を舞う。深々と可奈美の背後に突き刺さった千鳥。それは、可奈美の敗北と直結していた。
「葬る!」
「!」
容赦なく可奈美を狙う村雨。その時、可奈美は笑む。
「アカメちゃん。その剣は見えてる!」
傷一つ付けば即死。そんな刀を、可奈美は真剣白刃取りで受け止めた。
「何?」
「アカメちゃん!」
驚くアカメへ、可奈美は言い放った。
「そんな魂のこもっていない剣じゃ、何も斬れない!」
その言葉とともに、可奈美はアカメの手を折り、村雨から引き離す。そのまま村雨を反転させ、自らの手に加える。
すると、可奈美の全身に麻痺の毒が流れる感覚が襲い来る。だが、歯を食いしばりながらそれに耐え、村雨を振るう。
「でりゃあああああああああああああ!」
呪われた刀がアカメを斬る。
右肩から左腰にかけて、刃物が人体を斬り裂く。
肉を傷つける感覚と、足場さえままならない感覚が可奈美を襲う。力が抜け、村雨が音を立てて地面に落ちた。
フラフラとアカメの背後に体が運ばれ、そのまま後方へ倒れこむ。だが、同時にアカメも倒れようとしたため、背中合わせで座る形となった。
「……魂のこもっていない剣か……」
そう、アカメが呟いた。消え入りそうな声は、殺し屋の迫力が一切なかった。
「アカメちゃん……」
「……もう、分かる。私は終わりだ」
村雨の傷は浅い。致命傷にはならないものだった。つまり、彼女のその言葉は、村雨の持つその呪いが起因することだと理解できた。
「二度目の生を終わらせるのが、私自身の村雨か……」
「アカメちゃん……」
「私の剣より、お前の剣が上回っていた。それだけの話だ」
「……違うよ」
可奈美は静かに首を振った。
「試合の剣と殺しの剣。だけど、もしこれが試合だったら、千鳥が私の手を離れた時点で私の負けだったよ。私がたまたま白刃取りできただけで……言ってみれば、試合に勝って勝負に負けたってところかな」
「面白い言い回しだな」
可奈美の肩にかかる重さが増した。アカメがすでに、力さえも残っていないということだ。
可奈美は続ける。
「それに、アカメちゃんは令呪で体を操られていたでしょ? さっき戦った時より、明らかに剣のキレが悪かったよ。だから、私が勝てたのは、ただのまぐれ」
「謙遜するな。ここに突入してからの疲労は、見てわかる」
「あはは……」
「……私がいた世界では、剣は殺しの道具でしかなかったな。純粋な勝ち負けを決めるなど
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ