”Liar mask”
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
鳥を背中に通して受け止める。
「お前……よく笑えるな」
「笑ってる? 私」
「ああ。お前、最近それほど笑ってないな」
「そうかもね。……もしかしたら、ここ半年くらいで一番笑ってるかも」
可奈美は体を回転させ、アカメと向き合う。そのまま村雨を打ち返し、攻め入るが、アカメも当然防衛。反撃。
そのまま何度も何度も、二人の剣薙ぎは続く。
「お前の剣は、悲劇を経験しているのか?」
鍔迫り合いの最中、アカメが問う。
「お前の言葉を借りるなら、お前からも悲しみが伝わる。なぜお前は戦う? 聖杯戦争に、なぜ?」
「無くさないためだよ」
もう少しで頬を掠めそうになった村雨を蹴り飛ばす。
「何一つ、無くさないために! それが、私の今の剣術!」
さらに、二人の剣士の戦いは続く。互いに移動しながらの剣術勝負となり、周囲の環境をどんどん傷つけていく。
可奈美の袈裟切りを突破したアカメの三連突き。見切り、受け切ったかと思えば、アカメは頭上に跳び上がり、重い刃が両断しようと迫る。
「アカメちゃん」
「敵と会話する余裕があるのか?」
アカメの剣を受け止める。
「本心じゃないんでしょ? 剣が教えてくれてる」
「……だったら、どうだというんだ?」
彼女の剣に、重みが増した。ずっと無表情だった彼女の表情に、変化が訪れた。
目を大きく見開き、歯を軋ませる。怒りを示すその表情に、可奈美は千鳥を握る力を強めた。
「ずっと暗殺者として育てられ、信じていたものが悪だと知り、結果最愛の妹も敵となり、世界を良くしたいと多くの人をこの手にかけ、死でようやく救われると思った矢先にあのマスターに召喚されて、どうだというんだ!」
いつしか赤い眼差しは、潤いが宿っていた。
「結局私は、殺人者の手先として殺すことしかできない……ナイトレイドにいた時だけが、私が平和のために戦ってると思った……」
「……」
「私は、あんな奴らの汚れた笑顔のために戦っていたんじゃない! このやり場のない怒りは、どうすればいい! 本心で、お前に剣を振れるわけがない!」
嘆きを続けながらも、無情にも令呪に操られたアカメの体は、アカメへの攻撃を止めない。一手一手、可奈美にとって脅威となる攻撃方法で、その命を刈り取ろうとしてくる。
可奈美は距離を置き、新陰流、蜻蛉の構えを取る。
「アカメちゃんが、どれだけの血と涙を流してきたのかなんて、私には分からない。それで、どれだけ苦しんだのかも。さっきの子を殺されて、何も無いような顔して、その心ではどれだけ苦しんだのかも。私には、そんな経験ないから。でも……」
可奈美は、深く深呼吸した。
「だからこそ! 私は、アカメちゃんに、他の剣の道を示したい!」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ