第百六十二話 普通の難しさその六
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「世の癌だ、癌はどうすべきか」
「取り除くでござるな」
「そうするべきものだ、若し取り除かないとな」
「死に至るでござるな」
「そうなるからだ」
だからだというのだ。
英雄は智に強い声で話した、その口調には確かさもありそこには揺らぎ様のない自信さえ存在していた。
「賊共はな」
「一人残らずでござるな」
「消し去ることをな」
「目指すでござるな」
「そうだ」
まさにというのだ。
「一人残らずな」
「今拙者が言った通りに」
「実際は一人残らずはな」
「無理でござるな」
「流石にな、しかしだ」
それでもというのだ。
「目指すことはだ」
「していくでござるな」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「世を平和にする」
「むしろ魔物や獣よりも」
智もこう言った。
「賊の方が多いでござるな」
「そのこともあってだ」
「それで、でござるな」
「賊は殲滅する」
容赦なく、そうした言葉だった。
「何の躊躇もなくな」
「それが英雄殿でござるな」
「俺は屑が嫌いだ」
英雄は智に答えた。
「何よりもな」
「人の道を踏み外した輩が」
「そうした奴には情けなぞな」
それこそというのだ。
「かける気はだ」
「ないからでござるな」
「だからだ」
「容赦しないでござるな」
「世の中色々な人間がいる」
英雄はこうも言った。
「中には聖人もいるが」
「屑もでござるな」
「いてだ」
そしてというのだ。
「悪事を為してだ」
「人や世に害を為す」
「困るのは善良な者達だ」
「その善良な人達の為にも」
「賊は消す」
即ち屑はというのだ、英雄はここでは賊と屑を完全に同じ意味を示す言葉として認識しそのうえで使っていた。
「そして少しでもだ」
「人が困らない様にする」
「そうしていく」
「だからでござるな」
「魔物や獣を倒し」
それと共にもっと言えばそれ以上にというのだ。
「賊は始末していく」
「さすれば」
「世を楽にする為にもな」
「ことを進めていくでござるな」
「そうしていく」
「いいことぜよ」
当季は笑って英雄のその言葉に賛成の言葉を述べた。
「やはりじゃ」
「賊はだな」
「いないに限るぜよ」
「何処でもな」
「町や村のならず者にしてものう」
「山賊も海賊もな」
「賊はどれもぜよ」
それこそというのだ。
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