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レーヴァティン
第百六十一話 新兵器その八

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「そしてだ」
「味自体も」
「他の海老とは違う」
「そうですね」
「幾らでも食える」
 英雄は言いつつ伊勢海老をさらに食べる。
「これはな」
「そして他の湖の幸も」
 紅葉は栄螺の姿焼きも食べる、貝殻の中から身を出してそうしてそれを食べるがそれも実に美味く。
 それでだ、こうも言った。
「いいですね」
「そうだな」
「伊勢に来たとです」
 その様にというのだ。
「思えます」
「全くだ」
「はい、しかし伊勢海老は」
 紅葉は今度はこの海老自体の話をした、見れば伊勢海老の造りは船に乗せられて見事に盛り付けされている。実に大きな伊勢海老である。
「十三人で食べて」
「ようやくだな」
「それ位の量がありますね」
「一匹ではない」
 その海老はとだ、英雄は述べた。
「二十匹頼んだ」
「そしてその全てをですね」
「刺身にしてもらった、そしてだ」
「頭はですね」
「味噌汁にしてもらっている」
 そちらもというのだ。
「だから刺身の後はな」
「お味噌汁でもですね」
「楽しめる」
「それは有り難いですね」
「伊勢海老は身もいいが頭もだ」
 こちらもというのだ。
「味わいがある」
「頭も使わないとだ」
 幸正は杯で酒を飲みながら話した。
「真の意味で伊勢海老を食ったことにはならない」
「頭からいいダシが取れるからな」
「殻からもな」
「だから伊勢海老は頭も使うべきだ」
 食材、それにというのだ。
「やはりな」
「全くだ、それでだ」
「この店の料理人もわかっているか」
「そうした店だから入った」
 今こうしてとだ、英雄は幸正に答えた。答えつつ今は大根おろしを入れたつゆに鰯の天婦羅を入れている。天婦羅もありそこには鰯だけでなく鱚に烏賊や蛸もある。
「俺もな」
「そういうことだな」
「そしてこの面子で食っている」
「頭を捨てる様な店は駄目だな」
「伊勢海老の本当の意味の美味さがわかっていない」
 英雄はこうも言った。
「そうした店だと思っているからだ」
「入らないな」
「そうだ、それでだが」
 英雄はさらに言った、鰯の天婦羅を食いつつ。
「味噌汁も後で来るが今はな」
「伊勢海老だけでなくだな」
「卓の上のものを食っていくことだ」
「伊勢海老に栄螺にだな」
「そして天婦羅もだ」
 今食べているそれもというのだ。
「全てな」
「食べることだ」
「そうあるべきだな」
「こうしてな」
「そういうことだな」
「それとお酒もっちゃ」
 愛実はそれも飲みつつ言う。
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