イグナイトモジュール
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「だりゃああああああああああああ!」
響の拳が、『12th』を天井高く殴り飛ばす。その覆面の男が爆炎に見えなくなるのを見た後、響はアナザーウィザードへ駆け出した。
「だあっ!」
だが、アナザーウィザードはその動きを正確に見切っていた。拳を流し、蹴りを受け止め、逆にその蹴りを響の胸元に命中させる。
炎が込められた痛みが、響の全身に渡る。だが、それと交代で入ってきたビーストが、ダイスサーベルでアナザーウィザードに応戦する。
しかし、アナザーウィザードはそれらをすべて受け流していく。やがて、蹴り上げられたバイスサーベルが宙を舞う。
「このっ!」
得物を失ったビーストへ、アナザーウィザードが蹴り進む。何度も何度も炎の蹴りを浴びせ、ビーストは戦線より離れた。
ビーストを受け止めた響は、背後のチノとマヤを一度見返す。怯える二人を背にして、響はアナザーウィザードへ問いかける。
「ねえ! どうしてあなたは、こんなことをするの? こんなことをして、目的があるなら教えてよ! 私たちでも、協力できるかもしれないから!」
すると、アナザーウィザードの動きは止まった。続いて攻撃に入ろうとしていたがその全身より力が抜けた。
「あら? 協力してくれるの?」
先ほどまで語気の強さは薄れ、少女のような穏やかな声になる。響は安心して、
「そうだよ。私たちは、きっと繋がれる。仲間になれる! だから、こんなこともうやめて!」
「……ねえ。それ、私のためになることをしてくれるの?」
「うん。そうだよ!」
響の脳裏に、四つの敵の姿がフラッシュバックした。
世界を識ろうとして、世界を壊そうとした少女。
世界を変えようとして、手をつなぐこともできなかった者たち。
世界に拒絶されて、怪物にされてしまった者たち。
そして、世界の全てを捻じ曲げてでも、愛する者へたどり着こうとした者。
「このままだと、あなたも絶対に幸せになれないよ! もう、誰もそんな苦しみを味早生たくない! だから、私たちに……」
「本当?」
すると、アナザーウィザードの体が紫に波打つ。ピンク髪のツインテール少女となり、彼女はそのまま響に歩み寄る。
響も安心し、シンフォギアを解除。ビーストも、コウスケの姿に戻っている。
「本当に、私を手伝ってくれるの……?」
彼女は、それはそれは嬉しそうな顔で、響に近づいてきた。響の両手を取った。
「本当に?」
「うん。だから……」
「だったら……死んで?」
反応が遅れるところだった。
少女のナイフが、響の脇腹の一部を裂いていた。
「っ!」
顔を歪める響と少女。痛みの表情の響に対し、少女は殺意のものだった。
「私のために、お前は
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