イグナイトモジュール
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死ね!」
繰り出されるナイフを受け止め、響は彼女の膝を折る。
「どうして……?」
「ユッキーを生き返らせる!」
「ユッキー……?」
誰か大切な人なのだろうか。響がそう考えた時、さらに掌に痛みが走る。
ナイフで浅く斬られた掌を抱えた響は、そのまま少女に蹴り飛ばされる。
「今のユッキーは、他の人に汚されちゃったから! だから、私がユッキーを作り替えるの! ユッキーは私の物なの!」
「それって……その、ユッキーって人……」
改めて少女の顔を見た時、響は戦慄した。
彼女の顔にあった、傷だと認識していたもの。頬や額にあった、黒い点。それは、傷などではなかった。
血痕。含まれる鉄分が、異空間のわずかな光を反射していた。
「っ!」
目を見開いた響は、その彼女に慄いた。両手を手に当て、おおよそ中学生とは思えない妖艶な笑み。
「大丈夫……ユッキーは……由乃が生き返らせてあげる。ねえ、ユッキー……」
少女はその恍惚の表情のまま、紫の懐中時計をかざす。赤いマスクが描かれたそれを起動すると、『ウィザード』という音声が流れた。
「だから……いなくなれ……! 皆皆! この世界も現実も異空間も! みんなみんな、消えちゃえ!」
男性的な怪物から、ヒステリックな声が聞こえる。ベルトに掲げた手より、『サンダー』という音声が流れた。
アナザーウィザードから発射された紫電の雷撃は、そのまま響の場所ごと破壊する。
響の視界が煙により、ブラックアウトする。だが、その中で、響はただ、歌っていた。
『Balwisyall nescell gungnir tron』
黄色の閃光。煙の切れ目より、シンフォギアシステムを纏った響が、その姿を現した。
「あなたは、自分が好きな人を、その手にかけたの……?」
「そうよ! だから、私がユッキーを生き返らせてあげるの!」
「そんなの……」
響は、拳をぎゅっと握る。
「そんなの、悲しみが増えるだけだよ! 聖杯戦争は……私たちは、悲しみしか生み出せないんだよ! どうして……!」
「うるさい! お前も、ユッキーのために散れ!」
『ビッグ』
アナザーウィザードが手を伸ばす。魔法陣を通じて巨大化した手は、響を容赦なく握りつぶしてくる。
「消えろ! サーヴァント! 私以外のマスターもサーヴァントもいらない!」
潰される。そう直感した響は、迷わず胸元の装飾を外す。白、黄、黒の三色から成る響のシンフォギアにある、唯一の赤。それを投げ上げる。
それは。
『ダインスレイフ』
「イグナイトモジュール! 抜剣!」
赤いパーツは、上空でみるみるうちに変形していく。三方向へ伸びる鋭いパ
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