第一章
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SLAVE FOR LOVE
愛に餓えている、そんな人もいるだろう。
そして私もだろうか、今頭の中にいるのは彼のことだけだ。
寝ても覚めても彼のことだけだ、それで私は毎日彼に携帯で会話をしてメールをして同じお部屋に住んで同じベッドで休んでいる。
もう一緒になれたらいつもそうなりたい位だ、けれど彼はそんな私にある日こんなことを言った。
「ずっと一緒にいるのは難しいよ」
「やっぱりどちらかが先に」
「いや、死ぬとか生きるじゃなくて」
そうした問題でなくてとだ、彼は私に言ってきた。お風呂も一緒で今は同じ湯舟に入っている。この為に少しお風呂の広い部屋を借りたけれど正解だった。
「僕が入院とかしたら」
「縁起じゃないわね」
「縁起とかじゃなくて有り得るよ、僕が怪我したり病気して」
「それ言ったら私もじゃない」
「そうだよ、若しもね」
実際にとだ、私に言ってきた。
「君も怪我したり病気になったりして」
「入院とかしたら」
「もうね」
その時はというのだ。
「一緒だよ」
「人間ずっと一緒に入られないの」
「僕達同じ会社だけれどね」
同期で知り合ってそれが縁で交際している、部署は違うけれど同じ会社でいられていることにも感謝している。
「それでもだよ」
「ずっと一緒にいられないの」
「別の人間だからね」
彼の返事はドライなものだった、けれど冷たいものでも突き放したものでもなくて現実を語ったものだった。
その声でだ、私にさらに話した。
「身体も違うから」
「そうなってしまうのね」
「そうだよ、ただね」
「ただ?」
「心はつながっていられるね」
私に湯舟の中で向かい合いながらこうも話してくれた。
「それはね」
「そうなのね」
「うん、いつも一緒にいられないけれど」
それでもというのだ。
「心はつながっていられるよ」
「そうなのね」
「人間はそうだと思うよ。愛し合ってるとかキザだけれど」
こう言って彼はこの言葉は使わない、こうした時以外は。
「心はつながっていて愛していると思えばその相手の人をね」
「その人を」
「会えなくても想うんだよ、そしてその想いが何処までも重いと」
その時はというと。
「愛の奴隷にもなるかな」
「奴隷ね」
「その人の愛情に全てを捧げる」
「そうした人になのね」
「なるかな」
「そういうものかしら」
「そうも思うよ」
私にこんなことを話してくれた、この時私は彼の言葉を何でもない風に聞いていた。けれど一突き後に。
会社でインフルエンザが流行っていた、それで私は迂闊にも見事に感染してしまった。対策は充分していた筈なのに。
それで五日は面会謝絶で絶対安静と言われてだ、私はお部屋の空いていた
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