暁 〜小説投稿サイト〜
リリカルな世界で、それでも生きる罪《アマゾン》を背負う
俺の義妹/わたしのおにいちゃん
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「...うん」

桃子が呼んで来たので千翼が、なのはに先を行かせると、未だに引きづっているのか、トボトボトと顔を下げて降りていった。そして、なのはが出ていったのを確認してから、栄養補給用のインジェクターを取り出し、自身に注入する。

最近になって気づいたのだが、自身が倒れていたところに落ちていたらしいこのインジェクターはどうやら高タンパク質と細胞抑制作用が含まれているようで自身に注入することで丸1週間は、レジスターで抑えきれない分を補えるのだ。当然ストックは限られており、後2本しかない。最近、なのはを突き飛ばしたりしていないのはこれによって衝動を抑えられている点が大きい。それでも、長時間干渉してしまうと発作が起きてしまうのだが。

レジスターの内容液を注入し終え、皆が待つ1階の食卓へと向う。


◆◇◆◇◆


なのはには最近、お兄ちゃんがもう一人で来た。名前はチヒロお兄ちゃん。3週間前にお父さんと一緒にお家に帰ってる途中に出会った男の子なの。
最初出会ったときはどこかおおけがしたんじゃないかって言うくらい苦しんでいて、その時の姿が、まるでおとぎ話の怪物みたいでとてもこわかった。そのうちチヒロお兄ちゃんは自分で自分を殴り初めてお父さんが止めようとしてて...それでもお兄ちゃんは止まらなくて 、そのときにお兄ちゃんの顔を見て気づいたの。

ああ、この男の子はただ、こわいだけなんだって。おびえてるだけなんだって。

だから、なのははまだ暴れ回るお兄ちゃんが怖かったけど、それ以上に怖がっているお兄ちゃんを抱きしめたんだ。だいじょうぶだよって。怖くないよって。
そしたら、お兄ちゃんも安心したのか眠っちゃったの。
そうして、すこししてチヒロお兄ちゃんが家族になった。

なのは、としが近いお兄ちゃんができて、そのときとっても嬉しかったなぁ。でも、お兄ちゃんはそうじゃなかったみたいで、お兄ちゃんについて行こうとするたんびに、さけられて、時々どなられるの。

初めはそのことにとっても落ち込んじゃって、私が悲しそうな顔をする度に恭弥お兄ちゃんがチヒロお兄ちゃんのことにらみつけてた。それでも、チヒロお兄ちゃんは、絵本を読み聞かせてくれたりするし、なのはがついて行ったら気にかけてくれてるって事に気づいたの!!

そんなある日、たまたま夜中にお兄ちゃんの部屋に入っちゃった事があるんだ。ふだんお兄ちゃんはどんなことしてるんだろうって。
部屋に入ると、お兄ちゃんはねてたんだけど、その時の顔がとっても苦しそうだった。初めて出会った日みたいに。ずっと苦しそうに小さく声をあげたとおもったら今度は、誰かの名前何回もを呼んでた。その時にね、お兄ちゃん、泣いてたの。

そんなとき思ったんだ。お兄ちゃん、ずっとずっと、寂しかったんだねって。
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