第1部
アッサラーム〜イシス
偏屈な客
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れてるんだ」
「おいおい、そんなヤバそうなところに住んでんのかよ、あのじいさん」
ナギがあきれた口調で言うと、ルカはナギに向き直り、
「でも商人の間じゃ、アイテムに使う貴重な素材もよく見つかるので、『魔物の宝物庫』とか呼ばれてたりしますよ」
そう言って目を輝かせた。ひょっとしてルカをヴェスパーさんのところに向かわせているのも、そういう素材を手に入れるためなのかと推測してしまう。
そして宝物庫と聞いて、一瞬ユウリの目が光ったが、敢えてそこには触れないことにした。
「それじゃそこで死んだキメラの羽根を、ヴェスパーさんは拾って生計を立ててるってことなんだね」
「そういうこと」
思わぬところでキメラの翼の作成方法を知ってしまった。ルカも色々勉強してるんだな。
「とりあえず、イシスに向かうぞ。まずはそこでピラミッドについての情報を集める。……よし、明日俺は女王のところへ向かうから、お前らは町で情報収集をしろ」
「二手に分かれるってこと?」
「ああ。全員で行ったら時間がかかるだろ」
私は納得しながらうなずいた。そう言うと、ユウリは自身の影を見ながら、方角を確認していた。
その様子を、ルカは羨望の眼差しを向けながら眺めている。
「オレ、最初にユウリさんのこと、勇者っぽくないっていったの取り消すよ。やっぱり人の上に立つ人って、カッコいいよな」
「あ、ああ、うん。そうだね」
ルカに同意する私だったが、内心ユウリがまたお城に向かうという事態に若干の不安を抱いていた。なぜなら、ロマリアの王様交代事件があったからだ。まあ、そんな酔狂なことをする王様なんてそういないし、そんな何人もいてもたまったもんじゃない。
とりあえず明日何事もないことを祈るしかないのだった。
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