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俺様勇者と武闘家日記
第1部
アッサラーム〜イシス
偏屈な客
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いでルカに余計な不安を与えてしまったんだ。
「こいつらに不安を覚えるのも無理はない。だが安心しろ。レベル32のこの俺がいるからには絶対に全滅になるようなことはならない」
そう言いながら、自信満々に前に出るユウリ。いつの間にかレベル32になっていたらしい。でもユウリのおかげで私たちが生き残っていられるのは紛れもない事実だ。 逆にいうと、ユウリがいなければこの砂漠を越えることは出来ない。……それが事実なのだ。
ルカは勇者の一言が聞いたのか、安堵の表情に変わっていった。ごめんね、私がもっと強ければ、そんな顔させないですんだのに。
「そうですよね。勇者であるユウリさんが、負けるわけないですよね。おれも出来ることがあれば協力しますので、魔王を倒して、世界を平和にしてください。……あと、姉のこと、よろしくお願いします」
深く頭を下げるルカ。その小さな背中を見て、私は胸に熱いものが込み上げてくるのを感じた。ルカも成長してるんだ。私も今以上に頑張らないといけない。
「それはそうと、皆さんこれからアッサラームに戻ろうとしてますよね? 提案があるんですが、今からだと夜になってしまいます。それはさすがに危険なので、ここから北に少し行ったところにあるイシスに向かいませんか?」
「ああ。あの変態ジジイが言っていた、イシスか。確かに、ピラミッドに行くには、所有者であるイシスの王……いや、あそこは女王か。彼女にも話を聞いといたほうがいいからな。ここから近いのか?」
「ここから一時間ほど歩けば着けます。それに、イシスではアイテムの素材の買い取りも行ってるので、実はここを出てから行こうと思っていました」
「素材の買い取りって何? ルカ持ってるの?」
 ルカは何を言っているんだ、と言わんばかりに私のほうを向いた。
「持ってるもなにも、さっきヴェスパーさんがくれたじゃんか。あれキメラの羽根なんだよ。その羽根を集めて加工したのがキメラの翼になるんだ」
「ええっ!? そうだったの!?」
てっきり鳥の羽根かなにかと思ってたけど、まさか魔物のだったなんて。
「他にも『うさぎのしっぽ』なんかは一角ウサギの毛から作られてるし、結構魔物の一部を使って作ったアイテムって多いんだよ」
 頑張って覚えたのか、さすが商人見習い、と言わんばかりに饒舌に話すルカ。
「でもさ、この辺キメラなんて魔物、見かけないよ? なんでヴェスパーさん持ってるの?」
「うん、確かにこの辺にはいないんだけどさ。師匠が言うには、死期が近づくと、ある魔物なんかはみんなそろって同じ場所に集まって、そこで死ぬのを待ってるんだって。キメラもそういう習性があるかもって言われてる。ヴェスパーさんちの周り、動物とか魔物の死骸とか凄かっただろ? 世間じゃ『魔物の墓場』って呼ば
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