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俺様勇者と武闘家日記
第1部
アッサラーム〜イシス
偏屈な客
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墓に侵入したために、わしのご先祖が色んな仕掛けを施して入れんようにしたんじゃよ」
「へえ。じゃあ、その仕掛けを解かないと中には入れないってことか」
 仕掛けと聞いて、興味深げに頷くナギ。
「お前の先祖は、ピラミッドの管理者だったのか?」
「うむ。もともとわしの先祖は魔法使いが多くてな。その中でも優秀な者たちが墓の所有者であるイシスの王に選ばれ、墓の守り手としてピラミッドに様々な仕掛けを施したのじゃ」
 ユウリの問いに、ヴェスパーさんはやや得意げに答える。
「じゃが、わしの一族にもいろいろあってな。何十年もたつうちに、墓の守り手自体、放置されるようになったんじゃ。今ではイシス城内でも、墓の守り手という存在自体知らないものがほとんどじゃ。もちろんわしら子孫にも、ピラミッド内部について語り継がれることはなかった」
 そう言って、深くため息をつくヴェスパーさん。
「だから、魔法の鍵がピラミッドのどこに眠っているのかもわからん。罠や仕掛けもどこに隠されているのか、それすらも今のわしには何一つ知らないんじゃよ」
それを聞いた私たちは、がっくりと肩をおとした。それでも、魔法の鍵がピラミッドにあるっていう情報だけでも大収穫だ。
「それじゃあ、オルテガさんが訪ねた時って……」
「ああ、そのときはわしも若かったからの。つい見栄を張って、さも知ってるけど教えないような素振りをしてしまったんじゃ。若気の至りってやつじゃな」
うん、やっぱりこの人、変わってる。さっきの感じから察するに、お互い意地を張って一歩も引かなかったんだろう。オルテガさんたちとヴェスパーさんがどういうやり取りをしたのか、想像して妙に納得してしまった。
「だからな、これ以上わしに聞いても無駄じゃぞ。あとは自分等でなんとかしてくれ」
「ずいぶん他人任せだな」
「何を言う。ちゃんとこいつのお代分は話したからな。もう用はないんだから、気が済んだのならとっとと帰ってくれ」
 なんて自分勝手なんだ。でも、魔法の鍵のありかを教えてくれた手前、彼がどんな気性であれ、そこは感謝しなくてはならない。
「教えてくれてありがとうございます、ヴェスパーさん。助かりました」
「ふん。まあ、お前の話のおかげで道が開けた。一応礼は言う」
「む、むう。そうやって正直に言えばいいんじゃよ」
 私たちがお礼を重ねると、ヴェスパーさんは少し照れた表情をした。
「けどよ、じーさん。そのウサギのしっぽをどうするつもりなんだ?」
 ナギの何気ない問いに、声を震わせるヴェスパーさん。
「な、なんじゃお前!! もしかしてやっぱり買い戻したいとか……」
「いや、絶対ないから」
「あたしも気になるなぁ〜。もと持ち主として」
 ナギとシーラがずい、と歩み寄る。ヴェスパーさんは必死の形相でウサギのし
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