第四章
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櫻良はそんな姉の評判を聞きながら店で働き会計や食材の調達も行う様になっていたが。
家で仕事が終わってから母にこんなことを言った。
「いい素材を選ぶことは絶対でも」
「それでもでしょ」
「うちの財政状況を考えてね」
そのうえでというのだ。
「しないといけないわね」
「そうよ、よくても変に高い食材を使ったら」
母は娘に答えた。
「うちは赤字よ」
「そうなるわね」
「お店のレベルに合った食材を選んで」
そしてというのだ。
「買って使わないとね」
「お店やっていけないわね」
「そうなの。アルバイトの子達のバイト代も払わないといけないしね」
「そうよね」
「キッチンだってね、お店の規模を考えて」
そうしいてというのだ。
「それに合ったもので包丁とか料理のお道具もよ」
「高くて質のいいものを使うに限るけれど」
「お店のレベルを考えてね」
財政状況をだ。
「やっていかないと駄目よ」
「専門学校でそうしたこと習ったけれど」
「しっかりしないと駄目でしょ」
「本当にそうね」
櫻良はしみじみとした声で言った。
「私今それを実感しているわ」
「お店で働く様になって」
「専門学校卒業して社会人になってね」
そうして本格的に働く様になってというのだ。
「つくづく実感しているわ」
「そうよね、そこが問題なのよ」
「お店で働くには」
「お店を継ぐにはね」
「そこなんだ、桃香は本当に天才だ」
父も言ってきた。
「けれどあの娘は食材も包丁とかもな」
「物凄く選ぶわね、お姉ちゃん」
「一番いいものを選ぶけれどな」
「その選んだものが」
「一番いいものをお金のことを考えずに選ぶな」
「ええ」
「これが一番いいと言ってな」
「日本国内にないと」
その食材や料理道具をだ。
「普通にね」
「海外からも選ぶな」
「もうすぐにこれだって見抜くけれど」
「とんでもなく高い食材も普通に選ぶな」
「包丁にしても」
「うちの店は街のケーキ屋だ」
有名な店で売れ行きはよくてもだ。
「それであそこまでお金を使われるとな」
「やっていけないのね」
「そうだ、あいつは天才だがな」
それでもというのだ。
「その天才さ故にな」
「いつも最高のお料理作るけれど」
「その最高の料理がな」
「お金のことも問題だから」
「お前は職人だ」
お菓子のそれだというのだ。
「しかしあの娘は芸術家なんだ」
「それでなの」
「お前はうちのお店を継げるがな」
「お姉ちゃんは無理なのね」
「お前の作ったザッハトルテは美味い」
父は今度は作ったものの話をした。
「九十点だ、そして桃香のザッハトルテはな」
「百五十点ね」
「今は二百点かもな」
腕も上げたというのだ。
「物凄
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