第二章
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「絶対にね」
「そうなの」
「正直桃香はお店を継いで欲しくないな」
「そうよね」
今度は両親で話した。
「出来る限りね」
「うちみたいな街のお店じゃなくてな」
「もっとね」
「高級なお店に行くかな」
「フランスに行ってね」
その本場にというのだ。
「パリの高級料理店で働いて欲しいわね」
「本当にそうだな」
「二人共高校卒業したら料理の専門学校に入るって言ってるしな」
当然二人共将来のことを考えてのことだ。
「それならな」
「卒業したらね」
「桃香はあのままいったらコンクールで優勝し続けるしな」
「そこでスカウト来るでしょうし」
「そこに行ってもらって」
「お店は櫻良ね」
「あの、全然わからないけれど」
櫻良は両親にどうしてという顔で問うた。
「天才のお姉ちゃんがお店継がないで私がなの?」
「そのことね」
「ええ、お姉ちゃんの手捌きも素材や料理道具の選び方も工夫も天才なのに」
調理の分野全てでというのだ。
「キッチンのお掃除だって私以上だしいつもお料理のことで努力している」
「非の打ちどころがないわね」
「完璧な天才じゃない、自信もあるし」
天才故のそれもだ、尚桃香はお菓子作りでは自信家だがそこを離れると普通の高校生で明るく気さくであり曲がったことはしないので人気もある。穏やかで優しい性格の櫻良とも姉妹仲は決して悪くはない。
「だったらお店はね」
「それはまたわかるわ」
「その時が絶対に来るからな」
母だけでなく父も言ってきた。
「お前がお店継いでくれ」
「そうしてね」
「本当に桃香にはうちの店は無理だ」
「思い切って凄いお店に行って欲しいわ」
「それこそ世界中の美食家が来る様な、な」
「そんなお店にね」
「それはかなり凄いしお姉ちゃんならって思うけれど」
それでもとだ、櫻良は首を傾げさせて言った。
「そうしたお店でも充分以上にやっていけるって」
「だからまたわかる」
「あんたにもね」
「どうしてかしら」
凡人の自分の娘に後を継いで欲しいという両親の言葉がどうしてもわからなかった、だがそんな中でだった。
桃香はコンクールに出てはダントツで優勝し続けそれは専門学校に入ってからも同じで名門専門学校開校以来のお菓子作りの天才とまで呼ばれる様になった。
そして卒業の頃にはだった。
何とパリで美食家達が来る最高級のレストランのパティシェにスカウトが来た、努力家でもある桃香は既にフランスやイタリアの料理本を読んで研究していたこともありフランス語もマスターしていた。それでだった。
両親はこの話をした桃香に家で言った。
「そのスカウト受けろ」
「それでフランスで働きなさい」
「お前なら絶対に大丈夫だ」
「そのお店でもすぐにトップに立てるわ」
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