第83話『肝試し』
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る様子だ。このままだと、彼らの人格が崩壊しかねない。
「…こうなったら、次はとにかく突っ切ろう。走るだけだから薄目でもいいし、また安全地帯はあるはずだよ」
これは自分でもナイスアイデアだと思う。というか、これが最善策としか思えない。要は仕掛けを認知しなければいいのだ。本来の肝試しなら邪道も邪道だが、四の五の言ってはいられない。
「みんな、走る準備はいい?」
「おうとも」
「いつでも行けるぜ」
「わかった…」
「三浦、また頼むぞ…」
2名ほど心が折れている者が居るが、反対はしないようだ。であれば、後は進むのみ。
「いくよ! せーのっ!」
その合図をきっかけに、一行は全速力で駆け出した。
*
荒い呼吸を繰り返しながら、森の中を突っ切る。薄目で見た限り、空中が光っているような気がするが、そんなことを気にしてはいられない。ただゴールまで、ひたすらに走り続ける。そして、
「着いた〜!」
「寿命が10年くらい縮んだぜ…」
走り始めて早1分、晴登たちの視界が突然開けた。そう、念願のゴールに辿り着いたのだ。そこには草原が広がっており、先にゴールしていた女子たちの姿が見える。
ここだけの話、実はスタートしてからまだ15分も経っていない。体感では1時間くらいに感じたのだが。
「お疲れ、ハルト〜」
「あ、結月。全く、災難だったよ…」
「だね。まさか生首が飛んでくるなんて…」
「え、何それ怖っ」
「あれ、違った?」
結月が首を傾げるのを見て、晴登は1人で納得した。そうだ、きっと分かれ道ごとに仕掛けが異なるのだろう。随分と凝ってるじゃないか…。
「あれ、大地の班は?」
「まだ着いてないみたいだね。分かれ道によって時間のかかり方が違うらしいから」
「そりゃそうか・・・って、ん? 迷うんじゃないの?」
「たぶんだけど、どの道を行ってもここには着くんだと思うよ。ほら」
晴登が結月の指さす方向を見ると、森の中から男子の班が出てきた。あれは1組2班だ。
さらに見回してみると、晴登たちが森から出てきた道以外にも、多くの道が森に繋がっている。つまり、最初から迷うことなんてなかった訳だ。道理で誰も引き返して来なかったのか。
「まぁ道中は必死すぎて、迷路ってこと忘れてたけど…」
分かれ道をどちらに進むかは、早く仕掛けから逃れたいという思いで選んできたから、正しいルートを模索する暇も無かった。ゴールした時も、ようやく終わったって感じだったし。
「でもそういうことなら、大地もすぐに着くか」
「そうだね。それじゃ向こうで待っていようよ。リナも居るから」
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