第83話『肝試し』
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思った…」
「もう走れねぇ…」
「あうあうあうあう…」
「だ、大丈夫? 柊君…」
伸太郎たちは口々に愚痴を零し、縮こまってガクガクと震える狐太郎を晴登は慰める。ひとまず、危機は逃れたようだ。
「何だったんだろうな、アイツら」
「分かれ道ごとにあんな仕掛けがされてるってことなのかな?」
「なんて大掛かりで、はた迷惑な仕掛けだよ」
道に立ち止まり、息を整えながら現状を整理する。もはや肝試しというよりは、脱出ゲームに近い。この謎の多い森の中から、一体どうやって脱出するのか・・・
「…なぁ三浦」
「どうしたの? 暁君」
「俺達、友達だよな…?」
「え、いきなりどうしたの? 当たり前じゃん」
突然、伸太郎が場違いなことを言ってくる。急にどうしたのだろうか。
「…だったら俺の足元を見てくれないか」
「足元? 足元に何が──」
視線を下に下ろした刹那、晴登の表情が凍りついた。それは他のメンバーも同様で、皆一様に青ざめた顔をしている。
「友達なんだから、さすがに俺を置いて行ったりは──」
「「出たぁぁぁぁ!!!!」」
「あぁぁぁ待ってくれぇぇぇぇ!!!!」
疲れも忘れて全速力でその場から逃げる晴登たちと、その場を動けずに置いていかれる伸太郎。
──それもそのはず、伸太郎の足首を、青白い手ががっしりと掴んでいたからだ。
*
大量のゾンビの次は、地面から手が無秩序に生えてくる。この仕掛けを考えた人は、相当性格がひん曲がっているのだろう。
もし掴まれた場合の拘束時間は短かったのだが、そもそも掴まれた時点で心臓まで握られたような気分だ。
「…もうお前らなんて大嫌いだ」
「ごめんって。謝るからさ、そんなに拗ねないで? 手はすぐ放してくれたし…」
「うるせぇ掘り返すな! もう思い出したくもねぇ!」
「う、うん、ごめん…」
涙目になりながら、3つ目の分かれ道の真ん中に体育座りで座り込む伸太郎。よほど、さっき置いていかれたことがトラウマになったようだ。いや、あれは見ている側も相当怖かったので、逃げたのは許して欲しい。不可抗力だ。
「にしても大発見だな。分岐点の所だけは仕掛けが無いなんて」
「ここまで手がボコボコ出てきたら、心臓が保たねぇよ」
班員の男子たちの言う通り、分岐点にはギミックが存在しない。すなわち、安全地帯という訳だ。ここまで二度も全力で走り抜けているので、こういうエリアはとてもありがたい。
「ただ、また次の仕掛けが待ってるんだよな…」
「もう帰りたい…」
伸太郎だけでなく、狐太郎まで絶望に打ちひしがれてい
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