暁 〜小説投稿サイト〜
リリカルな世界で、それでも生きる罪《アマゾン》を背負う
目覚め
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だ.......もうこれいじょう...ころしたくない(今すぐ喰いチりタイ)

そうしてる間にも、誰かが小走りに近づいてくる音がする。

「きみ、だいじょうぶ?」
そんな高い声が千翼の耳に入る。目をあげるとオレンジ髪をした。可愛らしい少女が目に映る。

「グ...ア」

少女の顔はこちらを心配しているかのように陰っており、嘘偽り無いことを体現している。
そんな少女と目が合った瞬間、強引に押さえつけていた食人衝動が弾けそうになる。

──メノマエニシショクジガアルゾ
やめろ

──ハラガヘッタンダロウ??
うる、サイ

──ナゼタメラウ?オマエハバケモノダロウ
ダまれ

──バケモノラシク、クイチラカセヨ、ラクニナルゾ?
黙れぇ!!

──俺は、絶対に人は食わない!!おれハ、人間ナンだッ!!

そうしてる間にも

「どうしたの?どこかけがでも」

そう言って手を差し伸べてくる少女。最早、千翼の理性は、はち切れる寸前でどうにかとどまっている状態であった。
かつて、ゾウアマゾンに捕食される女性の腕から、血が滴り落ちる様を見た。 かつて、大切に思っていた少女を衝動のままに求めた。

アアァ、モウ 、ガマンデキナイ。
ナンテウマソウナ、テナンダロウ...

理性を手放しそうになったその瞬間、たった1人の大切な少女の幸せそうな笑顔を、思い出した。


「...ッ!!触るナァッ!!」バチィン!!!
「いたっ!?」

「ア゛ア゛ァア゛あ゛あ゛ア゛」

苦しみの余りに立つ気力すら失われ、地面に伏し、のたうち回る。

「ガアァァアアア!! うグゥ...ギッ、ア゛ア゛ア゛ァ゛ア゛!!!」
「ヒッ」

「おい、君!!大丈夫か!?」

近くで少女千翼の常ならざる様相に小さく悲鳴をあげ、呻き声を聞きつけた男が千翼に呼びかける。

「止まれッ!! 止まれッ!! 止まれッ!! とマれッ!! トマれッ!!
止まれッ!! 止まれッ止まれッ!! トマ゛レ゛ェ゛ッ!!」

千翼は己を蝕む衝動から逃れるため、自身を何度も、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も。 気絶するまで全力で殴り付ける。

本来であればたかが4.5歳程度の膂力ではたかが知れているが、アマゾンとして生を受けた千翼であれば、それも可能だった。 自分自身を全力で殴り付ける度に赤黒いアザができ、血が滲んでいく。その異様な光景に、怯えながら男にしがみつく少女をよそに、男は少年を止めようとする。

「何をしている!!今すぐ止めるんだ!!」 「離せェェ!!
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