願いとは
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」
激昂したアナザーウィザードは、ヒステリックな声を上げながらチノたちに襲い掛かる。
だが、その前に、金色の壁が立ちはだかった。
「待てよ」
金色のライオンのような鎧を纏った、緑の眼の彼は、アナザーウィザードを蹴り飛ばし、距離を引き離す。
「響。その二人を守ってやれ。オレはコイツを倒してやる」
「オッケー。二人とも、こっちに」
「は、はい……」
「あれ? これって、もしかしてヒーローに『早く逃げて』って言われるシチュエーション?」
「この状況にそんな楽観を持てるマヤさんが羨ましいですよ」
響に背中を押されながらも、チノは背後に少しだけ目をやった。
ライオン男と向かい合うアナザーウィザードは、プルプルと肩を震わせている。異形とかした全身の中に、由乃の面影が重なった。
「12th!」
由乃の怒声が木霊する。
すると、チノたちの目の前に、新たな脅威が降ってきた。
全身黒タイツの人影。顔には、白い布袋を被っており、顔をまるでいくつもの黒い点で描いていた。
「……簡単には逃がしてくれそうにもないね」
だが、響は少しも臆することはなかった。
チノたちをかばう様に、機械のアンクレットが付いた手を、チノたちの前にかざす。
「大丈夫だから。安心して。ねえ! コウスケさん!」
「ああ!」
コウスケ。その名前を聞いて、コウスケの声と金の声が一致した。
「行くぜ響! オレたちの全力! 見せてやる!」
「最短で! 最速で! 真っ直ぐに! 一直線に!」
その言葉に違うことなく、響は駆けだす。直線的ながら、一切ぶれのない動きで、『12th』の腹に拳を叩きこんだ。
容赦なく壁まで吹き飛ぶ『12th』。彼に向け、響の言葉が追撃する。
「この拳は、私の魂! 誰にも、打ち破れないよ!」
女性のはずの響へ、チノは一瞬胸がドキッとしてしまった。
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