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ドリトル先生の競馬
第九幕その二
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「そこもだね」
「この場所にいるだけで神聖な気持ちになれるしね」
 ポリネシアの言葉はしみじみとしたものでした。
「私達も」
「神社の中にいるみたいだね」
 トートーも思うことでした。
「この射的場にいると」
「キリスト教の教会や聖堂と違うけれど」
 今度は老馬が言いました。
「日本の神道の神聖さは」
「清潔だね」
 ダブダブは神道の神聖さをこう表現しました。
「日本の神道の神聖さって」
「そうそう、清めのお水とかお塩もあるし」
 ホワイティはダブダブの言葉に頷きました。
「日本の神道って清潔だよ」
「それでこの場所も」
「清潔な雰囲気があるね」
 オシツオサレツも二つの頭で言います。
「矢を放って清める」
「退摩以外にも」
「いるだけで清潔な気持ちになって」
 チーチーは実際に感じています、この感触を。
「素敵な場所だね」
「心まで清められるよ」
 ジップはしみじみとした口調で述べました。
「ここにいると」
「僕もだよ、この素敵な感覚を体験出来るから」
 それでとです、先生は皆に応えました。
「この場所が大好きになったよ」
「それは何よりだね」
「それじゃあだね」
「先生は暫くここにいて」
「彼の練習を見守るんだね」
「そうさせてもらうよ、弓と乗馬の両方が出来る」
 そうした人はというのです。
「それだけで滅多にいることじゃないから」
「若しホフマン君がアーチェリーもしていなかったら」
「それならだよね」
「他に誰がいたか」
「それが問題だね」
「乗馬部、アーチェリー部そしてこの弓道部で」
 先生は今度はホフマン君を見ました、今彼は袴と着物という弓道の姿になってそのうえで弓を教わっています。
 そうして弓を放って的に当てますがその後でこんなことを言いました。
「やっとです」
「慣れたんだね」
「はい」
 こう先生に答えました。
「僕も」
「それは何よりだよ」
「弓がです」
 これがというのです。
「全く違いますから」
「アーチェリーとはね」
「最初戸惑いいましたけれど」
「その弓に慣れたんだね」
「はい、それで射的もです」
「的に当たる様になったんだね」
「そうです、ですが」
 ここで難しいお顔になったホフマン君でした。
「問題は馬に乗って走りながら撃ちますよね」
「流鏑馬はね」
「それをすることは」
 このことはというのです。
「かなり難しいですね」
「うん、昔は軍隊でもね」
「馬に乗って弓矢を放っていましたね」
「所謂騎射だね」
「それはかなり高度な技でしたよね」
「そうだったんだ、遊牧民はそれが出来たから」
 だからだというのです。
「強かったんだ」
「そうだったんですね」
「モンゴル帝国にしてもね」

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