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Fate/WizarDragonknight
暴走する愛
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者は、由乃が呼びかければどこにでも現れる。

「ちょっと聞いていい? 聖杯戦争のルール」
『ウププ。今更聞くことなんてあるの?』
「ええ。聖杯戦争は、最後の一人になれば、聖杯で願いを叶えられる。そう、言ったよね?」
『うん』
「それは、人の命も蘇らせられるの?」
『問題ナッシーング』

 モノクマは、両手で×印をして見せる。

『人の命は、一人までなら、聖杯が蘇生できるよ』
「それじゃあ、蘇らせた命に、私を刷り込ませることは?」
『刷り込ませる?』
「私以外を見えないようにするの。誰もいない、私たちだけの世界で」
『うーん……うん! オッケー』

 少し考えたモノクマは、手を彎曲させ、丸マークを示した。

『我妻由乃の願いは、君の思い通りに歪めた死者蘇生だね! いいよ!』
「そう。ありがとう」

 由乃は、口に笑みを浮かべると、再び幸輝に向き直る。

「な、なに……?」
「ごめんねユッキー。ユッキーが悪いんだよ」

 幸輝の顔に、更に絶望色が増す。こちらがもった、ナイフが視界に入ったか。

「ユッキーが私以外の人に、夢中になるのがいけないんだよ」
「ま、待って! 我妻さん!」
「おい我妻! 何やってんだ!」
「いけません! 我妻さん!」

 マヤ、チノとかいう人の声は聞こえない。由乃にはただ、幸輝だけしか見ていなかった。

「安心してユッキー。聖杯戦争に勝ったら、蘇らせてあげるから」

 ナイフを振りかざす。

「だから、一回死んでね。すぐに生き返らせてあげるから。そしたら、私だけしか見えないようにしてあげる」

 振り下ろした凶器から、血が飛び出した。

「痛っ……痛い痛い! やめて我妻さん! やめて!」
「大丈夫だよ。痛いのは一瞬だから。次に目覚めたときは、私を好きで好きでたまらなくなってるから」
「おい我妻! 止めろ!」
「止めてください!」
「離せ!」

 両腕にしがみつく二人を振り払い、幸輝の解体を続ける。

「我妻……さ……
「ユッキーの血……暖かい……おいしい……」

 頬に着いた、赤い液体を舐めとる。すでにガラスのような目をした幸輝を撫でて、由乃は邪魔をした二人を見下ろした。

「だから……ユッキーを穢したお前たちは、ここで死ね!」

 そう告げ、由乃は武器を掲げた。
 ナイフでもない。銃でもない。現代では、由乃以外何者も持たない、モノクマより与えられた唯一無二の由乃の力。

『ウィザード』

 迷いなく、体に埋め込んだ紫の懐中時計。そこからあふれる光が全身を包み込む。
 現れたのは、指輪の魔法使い。
 ルビーの指輪の形をした頭部、髑髏の肩、ボロボロのローブ。
 聖杯戦争にあたる、由乃の力。
 アナザーウィザ
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