第8章:拓かれる可能性
第250話「止めて見せる」
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ためのものだ。
確かに、倒してしまった方が抵抗がなくなるが、倒す必要がある訳でもない。
「(だから、だからなんだね……。全力が出しきれなかったのは……!)」
目的がすり替わっていた。というよりは、固定観念で考えが寄ってしまったのだ。
例え洗脳された状態であっても、緋雪はやはり優輝には敵わない。
物理的な強さではなく、好きな相手だからこそ、倒せないのだ。
「……これで、ようやく全力が出せる……!」
だけど、止めるためならば。
相手を助けるためならば、それこそ全力が出せる。
「……狙うは一点。私の……“私達”の全てを賭けて、その“闇”を破壊する!!」
援護射撃など、ちまちました役割分担は止めだ。
そう言わんばかりに、分身はリヒトとシャルの形状を変える。
防護服に重点を置いた、素手で戦うスタイルへと。
そして、援護に使っていた魔結晶を取り込み、その力を上昇させる。
「ッッ!!」
刹那、優輝が転移で死角に回り込んでくる。
緋雪は即座に反応し、その手刀を受け止める。
今までは、魔結晶による探知に頼っていた。だが、今回は違う。
「(精神を研ぎ澄ませれば、この程度……見切れる!!)」
紫の魔結晶は、分身にそれぞれ一つずつ取り込ませた。
つまり、緋雪は今の転移を素の身体能力で反応して見せたのだ。
「『リヒト、シャル!……分身の操作権を譲渡するよ!』」
〈『りょ、了解!』〉
分身の自我を破棄し、代わりにリヒトとシャルに接続する。
これによって、リヒトとシャルは疑似的に肉体を獲得する。
肉体の操作をリヒトとシャルに任せる事で、さらに動きを読ませなくした。
「(……そうだ。これは、私だけの戦いじゃない。お兄ちゃんを大切に想う“皆”が臨むべき戦いなんだ……!)」
再び転移を連発して、緋雪の死角を突いて来る。
だが、今度はそれに反応した緋雪に対抗し、さらにそこから転移した。
「させません!」
導王流と違い、緋雪は攻撃後に僅かに隙がある。
それを優輝は突いてきたが、リヒトが分身を操作してそれを阻んだ。
「ッッ……!」
そこからは、転移とそれに対する動きの応酬だ。
転移を繰り返す優輝に追いつくため、緋雪達も転移を多用し、攻撃が受け流されるか躱される。
「っづ……!」
受け流される場合、ほぼ確実に反撃を喰らうが、倒れない。
例え手刀が心臓を貫こうと、首を斬ろうと、即座に再生させる。
死の概念が壊れているからこその荒業で、緋雪達は反撃を無視する。
「ふっ!!」
緋雪の拳が振るわれ、転移で躱される。
転移先へリヒトが追いつき、またもや転移で躱され
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