第8章:拓かれる可能性
第250話「止めて見せる」
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直後、緋雪は飛び退く。
寸前までいた場所を、“闇”の棘が貫いた。
「攻防一体の“闇”……イリスの加護……!」
「離れても倒せず、近づけばこの“闇”に囚われる。肉薄しても導王流を突破しきれない。……さぁ、どうする?」
「方法なんて、関係ない。何がなんでも、突破する!」
理屈なんて考える必要はない。
本能と理性を以って、緋雪は突貫する。
「はぁっ!」
“闇”による攻撃など、今の緋雪にはただの障害物と変わらない。
拳圧によって吹き飛ばし、すぐさま肉薄する。
「ふっ!」
「ッ……!」
「せぁっ!!」
気合の声と共に放たれる緋雪の拳が、優輝を襲う。
その度に、防御に使っている“闇”が消し飛ぶ。
結局は受け流されるものの、緋雪は導王流以外で優輝を圧倒し続ける。
「っづ……!?」
「シッ!」
「っ、バインド……!」
だが、優輝もその動きにどんどん対応していく。
受け流しの反撃が突き刺さり、僅かに怯んだ所へ、バインドで拘束する。
すぐさまバインドを引きちぎり、防御体勢に入るも、一瞬間に合わず吹き飛んだ。
「(細かいダメージじゃ、意味がないのに……!)」
決定打どころか、一切の直撃がない。
吹き飛ばされた体勢を立て直しつつ、緋雪はそんな焦りを積もらせる。
「(単純に戦うだけだと、勝つ前に対応される。……なら!)」
転移で背後に回られると同時に、緋雪も転移で間合いを離す。
さらに分身二体による援護射撃と近接攻撃が入る。
分身とはいえ、その力は本物に迫る。それが二体だ。
赤と黄の魔結晶による援護もあるため、それだけで相手は出来る。
「「ッ……!」」
だが、優輝はそれを無視して転移した。
時間を稼がれると、本体の緋雪が何をしでかすかわからないからだ。
すぐさま本体の緋雪に肉薄するように、優輝は転移して背後に回った。
「まずは、導王流の流れを断つ!!」
……それこそが、緋雪の狙いだと気付けずに。
「ッ……!?」
緋雪は全力で地面を殴りつけ、めくりあげる。
大きなクレーターが広がり、地面の一部が浮き上がり、砂塵が舞う。
目晦ましに加え、衝撃波で体勢を乱す魂胆だ。
「(考えを切り替える!ううん、思い出す!私がやるべき事は、お兄ちゃんを“倒す”事じゃない!“止める”事!そのために必要なのは……!)」
砂塵の外へ離脱した緋雪は、そこから優輝を“視る”。
狙うのは肉体的な急所でも、“領域”でもない。
「(イリスの“闇”!洗脳を解くには、イリスの影響を削ぐ必要がある!)」
目的を見失ってはいけない。
そもそも、この戦いは優輝を止める
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