暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
第8章:拓かれる可能性
第250話「止めて見せる」
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「か、ふっ……!?」

 手刀で胸を貫かれる。
 それを認識した時には、椿は敗北を悟っていた。
 奏と葵は既に吹き飛ばされ、戻ってくるのに僅かでも時間が掛かる。
 否、二人もダメージが蓄積している事から、立ち上がるのもきついだろう。

「ぐ、っ……!」

 司が魔法で優輝を椿から引き剥がすが、同時に反撃を繰り出される。
 転移と共に繰り出されたその攻撃は、何とか障壁で防ぐ。
 だが、間髪入れずに放たれた一撃は、その障壁を徹して司に直撃する。

「穿て」

「ぁ……」

 僅かにでも怯めば、そこで終わりだ。
 障壁の維持が緩んだ瞬間に、砲撃魔法が司を呑み込んだ。

「(完全に瓦解した……!)」

 まだ戦えはする。
 だが、一度全滅してしまえば立て直すのは不可能だ。
 ましてや、相手が優輝であるならば。

「(まずい……!)」

 僅かにでも抵抗する動きを見せれば、そこから優輝は叩き潰してくるだろう。
 だからこそ、下手に動く訳にはいかなかった。
 ……尤も、その動く事すら困難な程ダメージを負っているのだが。









   ―――だからこそ、一瞬信じる事が出来なかった。



   ―――飛んできた緋い軌跡が、優輝を飛び退かせたのを。









「(優輝が……受け流さずに避けた?)」

 途轍もない速さで何かが駆けて、それを避けるように優輝が飛び退いた。
 椿には、そうとしか見えなかった。
 そして、それを行った者を見て、目を見開く。

「緋雪……?」

「………」

 椿の呟きが聞こえていないのか、緋雪は無言で優輝を見つめる。
 その手には、シャルとリヒトがあった。

「(姿が……いえ、羽が変わった……?それに、あの顔つきは……)」

 羽が変化し、ぶら下がっていた宝石が緋雪を守るように漂う。
 そして、緋雪の顔つきもどこか頼もしく見えた。

「……奇しくも、あの時と逆だね。お兄ちゃん」

「………」

「絶対に、止めて見せる」

 力強いその呟きと共に、戦いが始まった。
 最初に仕掛けたのは緋雪だ。
 シャルとリヒトを同時に振るい、クロスに切り裂こうとする。

「ふっ……!」

 だが、いくら強く、速く武器を振るおうと、導王流には無意味だ。
 その攻撃はあっさりと受け流され、反撃の掌底が迫る。

「ッ!!」

 ……それを、緋雪も当然ながら想定していた。
 いつもは羽にぶら下がっていた宝石のようなものが、優輝の攻撃を阻む。
 今や、その宝石……魔晶石はただ魔法を込めるだけでなく、武器としても使える。

「くっ
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