変質した中学校
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「何?」
「……?」
可奈美は、周囲を見渡す。何もない赤黒の空間に、発生源と思われるものはない。アカメも、疑問を抱いていた。
その中、唯一確信を持っていたのは、ほむらだった。
「爆弾!」
それが、忠告のためか、思わず口から出てきたのか。
可奈美とアカメは、同時にその場よりジャンプ。同時に床を破壊した、大爆発。
「何これ?」
可奈美は、目前の惨状に言葉を失う。
赤と黒の世界に、大きな黒い穴が開いていた。
「……ここまでの威力か」
隣では、警戒しているアカメが呟いていた。
彼女の目線は、頭上へ向けられていた。
彼女の視線を追いかけると、犯人らしき人影が上の階で見下ろしていた。
「また……人の怪物!」
可奈美は苦虫を噛み潰したような顔をした。
額に『9』と書かれた怪物。これまで通り、半分が白骨化した死体のような人物だった。
長い髪を揺らし、左目に眼帯をしている。膨らんだ胸元からも、それが女性だということは可奈美にも分かった。
「_______」
声にもならない声。声帯の破壊されたゾンビ『9』は、手に持ったコンバットナイフを武器に、こちらへ飛び降りてきた。
カウンター。可奈美の得意とする技を、そのまま実行する。
だが、手練れた動きの『9』は、可奈美の千鳥を掻い潜り、胸元にナイフを突き立てた。
「っ!」
胸を刺す痛みと同時に、写シが解かれる。
「何?」
さらに、『9』は手に持ったショットガンで発砲。可奈美は、千鳥の体で受ける。
再び写シを張った可奈美は、目の前に飛んできた緑の物体を斬り裂いた。
それが手榴弾だと気付いたのは、その割れ目から、火薬の匂いがしてからだった。
「うわっ!」
その爆風で、可奈美は背中から壁に激突する。
またしても生身になった可奈美は、『9』を見上げる。
彼女は、次にほむらに狙いを定め、銃撃戦を繰り広げていた。互いに走りながら、ハンドガンが火を打ち合っている。
「アカメちゃん! あれは……何なの?」
「所有者……マスターはそう言っていた」
アカメは微動だにせずに答える。
「マスターが想い描いた、宿敵たち。合計十人いるらしい」
十。その数字は、可奈美を青ざめさせるには十分すぎた。
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