暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/WizarDragonknight
変質した中学校
[5/5]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話


「何?」
「……?」

 可奈美は、周囲を見渡す。何もない赤黒の空間に、発生源と思われるものはない。アカメも、疑問を抱いていた。
 その中、唯一確信を持っていたのは、ほむらだった。

「爆弾!」

 それが、忠告のためか、思わず口から出てきたのか。
 可奈美とアカメは、同時にその場よりジャンプ。同時に床を破壊した、大爆発。

「何これ?」

 可奈美は、目前の惨状に言葉を失う。
 赤と黒の世界に、大きな黒い穴が開いていた。

「……ここまでの威力か」

 隣では、警戒しているアカメが呟いていた。
 彼女の目線は、頭上へ向けられていた。
 彼女の視線を追いかけると、犯人らしき人影が上の階で見下ろしていた。

「また……人の怪物!」

 可奈美は苦虫を噛み潰したような顔をした。
 額に『9』と書かれた怪物。これまで通り、半分が白骨化した死体のような人物だった。
 長い髪を揺らし、左目に眼帯をしている。膨らんだ胸元からも、それが女性だということは可奈美にも分かった。

「_______」

 声にもならない声。声帯の破壊されたゾンビ『9』は、手に持ったコンバットナイフを武器に、こちらへ飛び降りてきた。
 カウンター。可奈美の得意とする技を、そのまま実行する。
 だが、手練れた動きの『9』は、可奈美の千鳥を掻い潜り、胸元にナイフを突き立てた。

「っ!」

 胸を刺す痛みと同時に、写シが解かれる。

「何?」

 さらに、『9』は手に持ったショットガンで発砲。可奈美は、千鳥の体で受ける。
 再び写シを張った可奈美は、目の前に飛んできた緑の物体を斬り裂いた。
 それが手榴弾だと気付いたのは、その割れ目から、火薬の匂いがしてからだった。

「うわっ!」

 その爆風で、可奈美は背中から壁に激突する。
 またしても生身になった可奈美は、『9』を見上げる。
 彼女は、次にほむらに狙いを定め、銃撃戦を繰り広げていた。互いに走りながら、ハンドガンが火を打ち合っている。

「アカメちゃん! あれは……何なの?」
「所有者……マスターはそう言っていた」

 アカメは微動だにせずに答える。

「マスターが想い描いた、宿敵たち。合計十人いるらしい」

 十。その数字は、可奈美を青ざめさせるには十分すぎた。
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ