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傍にいてくれている家族
第二章

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「追っ払ったり知らせてくれるけれどね」
「この前ハクビシン出たけれどな」
「ちゃんと追っ払ったしな」
「そのこともよかったな」
「まあ番犬としての仕事がしてくれるな」
「だからね」
 それでというのだ。
「いいけれど」
「ああ、けれど散歩してもな」
「そっちに連れていってもな」
 それでもとだ、兄達は話した。
「不愛想でな」
「全然嬉しくない感じだな」
「そうなのよね、どうも」
「まあ母さんには懐いてるからな」
 父の健太郎も言ってきた、大柄な初老の男で息子達と似た顔だ。
「いいけれどな」
「それならなのね」
「ああ、それならば」 
 問題はないというのだ。
「そうだろ」
「そうね、じゃあね」
「ああ、これからもプー太が不愛想でもな」
「いいってことね」
「わし等にそうでもな」
 いいと言ってだった、家族でプー太の不愛想さをよしとした。そうしてだった。
 家族で暮らしている中で秋になってだった、文音は母に言われた。
「ちょっと山に行ってね」
「山菜ね」
「それ採ってきてくれる?」
「茸はいいの」
「茸は毒キノコあるかも知れないから」 
 それでというのだ。
「別にいいわよ」
「山菜だけでいいのね」
「山菜はわかるでしょ」
「スーパーでもよく売ってるしね」
「そういうの採ってきてね」 
 スーパーで見る様なものをというのだ、
「そうしてきてね」
「ええ、わかったわ」
 文音は母の言葉に頷いた、そしてだった。
 文音は山に行こうとすると不意にだった、プー太が鳴きだした。
「ワンワン」
「また畑に何か出たの?」
「あれっ、何もいないわよ」
 母は畑を見てから娘に答えた。
「別に」
「じゃあ何なの?」
「何かね」
 母は今度はプー太自身を見て話した。
「あんたについて行きたいみたいよ」
「お散歩に?」
「そうかもね。じゃあお散歩に行くついでにね」
「山菜取って来いっていうのね」
「そうしなさい、あの山野良犬とか熊はいないみたいだけれど」
 それでもというのだ。
「猪も蝮もいるし」
「用心は必要ね」
「そう、だからね」
「プー太も一緒だと用心になるからなのね」
「連れて行きなさい」
「じゃあね」
 実は文音はプー太を散歩にはあまり連れて行かない、大抵は兄達のうちどちらかが連れて行く。朝は母がそうしている。 
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