第四章
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拓也は家にいる間も頑張った、落ち込みそうになると常にきな子がいいタイミングで来てくれて明るい気持ちのままでいられて。
学校に通える様にもなってだ、それでだった。
少しずつ元の状態に戻っていった、そこから怪我をして九ヶ月程経ってから拓也は家で両親に言った。
「サッカークラブに戻ろうと思ってるんだ」
「まだ籍はあるしな」
「練習に復帰するのね」
「やっと少し走れる様になった位だけれど」
それでもというのだ。
「完治はしたし」
「それでだな」
「やってみるのね」
「うん、そうしていいかな」
「お前がいいと言うならな」
「やってみたらいいわ」
両親は彼に笑顔で話した。
「再開してみて」
「後遺症はないっていうしな」
「きな子はどう思うかな」
「ニャンッ」
笑顔で頷いてくれた、きな子もそう言ってくれていると判断してだった。
拓也はサッカーを再開した、練習は最初はほんの少しで軽いものだった。だがもう完治していて後遺症はなく。
彼も真面目にしていたのでそれでだった。
元の様に動ける様になった、レギュラーに復帰して試合でも活躍することが出来て彼はこのことも家で話した。
「得点もアシストも出来て」
「活躍出来たな」
「試合観ていたけれどやったわね」
両親はその彼に笑顔で応えた。
「もう大丈夫ね」
「怪我の心配はしなくていいな」
「うん、それでね」
拓也はさらに話した。
「正直これからやっていけるか不安だった時もあるけれど」
「きな子がいてくれたからか」
「明るくやっていけたわね」
「お父さんとお母さんがいて」
そしてというのだ。
「きな子もいたからだよ」
「若しきな子がいなかったら」
どうなっていたか、母は話した。
「ここまで調子よくいけなかったわね」
「そうだな、本当にきな子がいてくれてだな」
夫は妻のその言葉に頷いた。
「こうまでよくいけたな」
「そうよね、きな子がいてこそよね」
「本当にそうだな」
「そうだね、きな子には感謝しているよ」
心からとだ、拓也も言った。
そしてきな子、今も家族の傍にいる彼女に顔を向けた。きな子は今はちょこんと座っている。その彼女にこう言った。
「これからはきな子に恩返しするよ」
「ニャンニャン」
きな子はその彼に明るい声で返した、その声は気にするなという風に聞こえた。だが拓也はこれからは自分がと決意した。そしてきな子をずっと可愛がったのだった。
猫がいたので 完
2020・6・18
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