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魔王の友を持つ魔王
§40 兄妹喧嘩(偽)
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像が、彼に拳を向けてくる。当然のごとく三昧真火程度では傷をつけることは敵わない。あわてて退避しことなきを得る。

「ちょっ、まっ、タンマ!」

 攻撃範囲が途方もなく広い。回避だけに一苦労だ。だが、それよりも。

「周りにボコスカ穴を空けるなー!!」

 半泣きになって黎斗は叫ぶ。既に原型の無い我が家だが、更に近所がクレーターだらけになったら悲しすぎる。いや、遮蔽物が無くなってスッキリするかもしれないが。

「よっ、とっ、はっ!」

 回避する度に更地が荒れ地へ変貌を遂げる。住民の皆様ゴメンナサイ。嗚呼。折角残った数少ない民家達が……

「これでも決め手になりませんか……!!」

 力士の動きが更に勢いを増す。彼らの動きは既に音を置き去りにし、衝撃波を纏いながら巨躯が動く。攻撃に移らずとも、周囲が勝手に壊れていく。

「おまえも、少し、頭冷やせー!!」

 護堂から"牡牛"を拝借、振り下ろされる拳を受けきる。絶妙な力配分は、受け止め際の衝撃全てを外部に逃がす。足下に罅が入ることもなく、仁王の拳は寸止めしたかのように微動だにしない。二対の力士をそれぞれ片手で押えこむ。

「馬鹿な!?」

「あああああ!!」

 叫びながら力士像を掴み、勢いよく頭上にぶん投げる。

「ごどーセンセ借りますぜ。――我が元に来たれ。勝利のために。不死なる太陽よ、輝ける駿馬を遣わし給へ。汝の主たる光臨を疾く運べ!」

 念じるのは"白馬"。既に辺り一面焼け野原なのだからこれ位なら使っても構わないだろう。破壊光線は却下。規模が広大すぎて使えない。使ったら周囲が消滅してしまう。これで邪魔な力士を消し飛ばす!!

「日輪か!! 無駄です!!」

 麗しい声を張る教主。風が渦巻き収束する。邪眼を向けるも密度が凄まじく消去しきれない!!

「……くっ」

 生み出された大気の奔流は凄まじい速度で白馬へ衝突、互いの力を競い合う。空間を歪め破壊すら可能にする空気のうねりが、太陽の槍を、粉砕する。

「うっそー……」

 これでは駄目だ。あの歌を封じなければ。あんなものをポイポイだされてしまってはたまったものではない。近接戦闘に持ち込んで、聖句を唱える暇を与えないようにするしかない。

「はあぁああ!!」

「うぉおおお!!」

 ひたすら打ち合う。衝撃波など起こらない。かたや歌で、かたや視線と簡単な術で。片手間作業でありながらも完全に周囲の空気の流れを読み切り制御する。拮抗しているように見えてその実、無手と槍。得物による間合い(リーチ)の長さで物理面では黎斗が若干有利。魔歌による呪と魔風で術の面では教主が有利。卓越した教主の実力に流石の黎斗も目を見張る。

「……強いねっ!!」

「当たり前で
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