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魔王の友を持つ魔王
§40 兄妹喧嘩(偽)
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 余裕をもって回避する教主。回避先は――上空。

「ふっ――!!」

 空へ向けて穂先を凪払う。今度は速度を数段、上げた。予想を遥かに上回る速度だったか、回避が間に合わず、直撃。吹き飛ぶ教主。

「くっ……!!」

 空中で態勢を立て直す教主に追撃、左足での蹴りと教主の掌打が衝突し弾けとぶ。後退しそうになるが、槍を後ろの大地に叩きつけ、その勢いで更に前進。

「はっ、と!!」

 教主の後ろをあっさりととり、ついでとばかりに石突で彼女を大地に叩きつける。

「とどめッ!!」

 教主の体が地面に触れた瞬間に、ありったけの力で蹴り飛ばす!!





「嘘、だろ……?」

 戦慄する陸鷹化。彼の目にすら一瞬に満たない攻防に写ったソレは、両者の人間やめました(チート)具合がよくわかる。

「最後の一撃は決まった、かな?」

 油断せずに構える黎斗。会心で放ったつもりの槍の凪払いですら、完璧に防御されていたのだから油断もなにも出来るわけがない。背後からの一撃もたいして効いていないだろう。

「まさか勢いを殺しきるなんて」

 回避不可の一撃を、教主は威力を殺すことで防いだのだ。穂先からくる衝撃をほぼ完全に、受け流すという神業で。

「ま、流石に受け流しで限界だったっぽいし? 蹴りは綺麗に決まったけど」

 冷静に分析を続ける彼の右腕が青白く輝く。

「契約により我に従え至天の覇者よ」

 あの怪物じみた少女が蹴り程度で戦闘不能になるわけがない。例えそれが高層ビルを一撃で粉砕する蹴りだったとしても。

「来れ止め処なき光の濁流。蹂躙する神鳴(イカヅチ)。事象を破壊す神の意向」

 故に、待つ必要を感じない彼は更なる追撃に打って出る。黎斗の腕をプラズマがのたうち、弾ける。

「万物一切粉塵に帰さん。其は安寧なり」

 魔術師が見れば失神するような速度で詠唱が完了する。超一流の魔術師が朗々と願い、乞う代物でも彼にとっては造作もない。

「天砕く稲妻」

「この速度で放つってあの兄さん化け物か!?」

 鷹化の驚愕と同時に、場が青白く染まりあがる。二重に輝くプラズマの光が観戦者の網膜を焼き付くさんと、その凶暴性を存分に振るう。

「さて、どんぐらい効くかな……?」

 広範囲殲滅呪文だ。戦略兵器にも相当する一撃だが、これで魔王(カンピオーネ)が沈む筈が無いことは、黎斗が一番知っている。追撃の三昧真火を放とうとして。

「……流石お兄さま。私の全力をご覧あれ」

 案の定、不吉な宣告と共に煙の中から立ち上がる魔王。

「ちょ!?」

 黎斗の頭上に巨大な影。黎斗の感覚でもこんなにも接近されるまで気づけない程の。阿吽の金剛力士
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