我妻由乃
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……」
登校してきたまどかは、机に佇むほむらへかける言葉を探していた。
昨日、ハルトさんが大怪我したんだけど、何か知らない? どうして戦っているの? 聖杯戦争、なんで参加しているの? ハルトさんたちと協力して、この戦いを止めようよ。
だが、何一つ言葉は出なかった。
まどかは席に荷物も置かず、ずっとほむらの席で立っていた。やってくる生徒たちに応じて道を譲りはすれど、ほむらの席の近くからずっと動けないでいた。
やがてしびれを先に切らしたのは、ほむらのほうだった。
「何かしら?」
ほむらはため息をついて、腰をひねってこちらを向いた。まどかはモジモジと手を擦りながら、
「その……ねえ、ほむらちゃん。昨日……」
「?」
「昨日、その……キャスターさんは……」
「キャスター?」
「どこにいたのかなって……」
「知らないわ」
ほむらはそれだけで、まどかから目を離した。だが、まどかは折れずに続ける。
「昨日、ハルトさんが大怪我したのって、知ってる?」
「ハルト……松菜ハルトね」
「うん」
「知らないわ。興味もない」
「でも……」
「貴女も、あの時キュウべえの話は聞いたはずよ。この聖杯戦争は、私と松菜ハルト、必ずどちらかは命を落とす。私は、松菜ハルトに徹底して敵として接するわ」
「どうして……?」
「私には、叶えたい願いがあるからよ」
彼女は、まどかを真っ直ぐ見つめていた。強く、熱く。これまで見たほむらの目線の中で、一番強い視線だった。
その時。
ぐにゃり。
教室が歪んだ。
「な、何?」
思わず叫んだのはまどかだけではない。
木製の床が赤黒いものに変色していく。
質素な壁が醜悪な檻へと変わっていく。
パニックになる生徒たちの悲鳴が重なり、変質した教室に木霊していった。
「きゃああああああああああ!」
まどかも悲鳴を上げて、目を覆う。大きな揺れと混乱で、何もかもが分からなくなる。
そして。
日常の中心であった教室は、まるで怪物の胃袋の中のような、不気味な世界に成り果てていた。
「キャスター!」
茫然とするまどかの自意識を我に返させたのは、立ち上ったほむらの声だった。見ればほむらはすでに魔法少女の姿に変身しており、彼女の傍らには黒い粒子が集い、黒衣の天使がその姿を見せていた。
教室内でのほむらの異質な姿だが、すでに教室の異形化というものがあり、彼女に気を留めるものはいなかった。
その中、キャスターはほむらに膝を曲げながら伝えた。
「校内に、マスターに匹敵……いいえ、上回る魔力を感じます」
「私以上の魔力?」
キャスターの言葉に、ほむらは顔をしかめていた。
だが、二人にとっての部外
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