暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
第8章:拓かれる可能性
第249話「緋き雪の姫」
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、普通の人間だった頃のシュネーだ。

「……だから、安心して眠って。(シュネー)

『……うん』

 シュネーは、緋雪の言葉にどこか安心したように頷く。

「確かに私は、生物兵器としての力を持つ。でも、結局その力も使い方次第だよ。分かってくれる人が一人でもいるのなら、恐がる必要なんてない」

 分かってくれる人は、いつも一人はいた。

「シュネーの時だって、ムートやオリヴィエ、クラウスがいた。他にも、アリス侍女長や、騎士ジーク……少なくても、確かに理解してくれる人はいたんだから」

 心の支えになってくれた人にも、確かに怯えていただろう。
 それでも、助けてくれた事には変わりない。
 その事実さえあれば、緋雪は立ち上がれる。

「……それに、今となってはこの力に怯える暇もないよ。だって、それ以上の存在が世界を襲っているんだから」

『……そうだね』

 緋雪がすぐに恐怖を克服できた理由がこれだ。
 神界の神は、規格外な力を持つ。
 緋雪の力も十分規格外だが、同等以上の力を持つ敵が現れたのだ。
 怯える暇も、必要もない。

「お兄ちゃんを助けるためにも、私はこの力を振るう。ずっとお兄ちゃんに助けられてきた。……だから、今度は私が助ける番だよ」

『………!』

 そう宣言した緋雪に、シュネーは嬉しそうに微笑んだ。

『……ありがとう。安心したよ……』

「こっちこそ。見落としていた……見ないようにしていたモノを、思い出させてくれてありがとう。これで、本当に克服出来たよ」

 シュネーの体が薄れて行く。
 どうやら、時間がもうないようだ。

『……ムートの事、よろしくね?』

「うん。任せて。(シュネー)の分も、頑張ってくる」

 両手を繋ぎ、額同士をくっつける。
 そして、その言葉を最後に、シュネーは光の粒子へと還って行った。

「一度過去を振り返る。……そういうのも、大事だよね」

 光の粒子は緋雪に吸い込まれ、残滓であろう淡い光が天へと昇っていく。
 それを見つめながら、緋雪はどこか穏やかな気持ちでそう呟いた。

「シャルは、この事に気付いていたんだね。そして、リヒトがここに導いてくれた」

 “トン”と地面を蹴り、未だに残る城へと飛ぶ。
 行き着く先は、かつてシャルを受け取ったバルコニーだ。

「二人も、ありがとう。おかげで、本当の私に戻れた」

 精神世界のため、この声はシャルとリヒトには届かないだろう。
 それでも、緋雪は感謝を込めて呟いた。

「―――だから、そろそろ戻らないと」

 緋色のように赤い夕陽が、緋雪を照らす。
 その夕日を真正面から緋雪は見つめる。
 そして、掌を上に掲げた。

「お兄ちゃん
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