第8章:拓かれる可能性
第249話「緋き雪の姫」
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って、本来は狂気に基づく副産物です。……そして、その狂気の原因はかつての人体実験ではありません〉
「シャル……?どういう、事……?」
〈その答えを示すため、貴女の力が必要なのです。フュールング・リヒト〉
〈何ですって……?〉
人体実験の結果、精神が歪まされて狂った。
今までは誰もがそう認識していた。
だが、シャルがそれを否定し、正解を示すのがリヒトだと言った。
〈“導きの光”を冠する貴女だからこそ出来る事です。……厳密には、マイスターでも可能ですが、今は貴女しかいません〉
〈……そういう事ですか〉
リヒトは、元々導王家に伝わる“自己進化型デバイス”だ。
ロストロギアから派生して生まれたリヒトは、普通のデバイスではない。
単独で魔法を使用可能なだけではなく、文字通り自己進化する。
かつて、優輝の元に転移してきたのも、その一端だ。
シャルも同じ自己進化型デバイスなのだが、今は余談なので置いておこう。
「……何を、するの……?」
〈かつて、マスターは言っていました。“いつか、緋雪に道を示す時が来る”と。……それはマスターの役目かと思っていましたが……私が担う事になるとは〉
自己進化とは、ただ機能を向上させるだけではない。
名前に沿った進化を遂げるのが、その本領だ。
故に、リヒトの場合は文字通り“導きの光”としての力を持っている。
〈緋雪様。貴女に道を示しましょう〉
そう言って、リヒトは光り始めた。
眩しくはない。むしろ、道を照らすような、そんな優しい光だ。
〈私に触れてください〉
「………」
言葉に従うように、緋雪は吸血衝動を抑えながらもリヒトに触れる。
その瞬間、光が一気に強くなった。
〈どうか、“答え”を見つけてきてください〉
―――“道を示せ、導光の煌めきよ”
そして、緋雪の意識は暗転した。
「………ここ、は……?」
次に緋雪が目を覚ました時、そこは現実ではなかった。
辺り一面が暗闇に覆われており、自分の体以外何も見えなかった。
「…………」
慌てず、一度心を落ち着ける。
すると、暗闇以外の景色が見えてきた。
「……“悲哀の狂気”……?」
そう。それは緋雪の心象を映し出す結界と同じ景色だった。
暗闇で見えづらいが、間違いなく同じ景色だ。
「……と言う事は、ここは私の心象……精神世界って事……?」
答える者はいない。しかし、緋雪はどこか確信出来ていた。
あれだけ体を蝕んで
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