暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
第8章:拓かれる可能性
第249話「緋き雪の姫」
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「緋雪……ちゃん……?」

 皆が必死になって戦っている中、シャマルは困惑していた。
 傷はきっちり治したはずなのだ。それなのに……

「……ぁ……ぐ……ぅっ……!!」

 目を覚ました緋雪は、ずっと苦しんでいる。
 どう見ても戦えるような状況じゃなかった。

「っ……血………」

「え……?」

「血、が……足りない……」

 呟かれた言葉に、一瞬シャマルは単純に体の血が足りていないのかと思った。
 だが、直後に違うと気付く。何せ、緋雪は吸血鬼と同じような体なのだ。
 すぐに“吸血衝動”だと理解した。

「ッ……!」

 そんなシャマルを余所に、緋雪はシャルに格納していた輸血パックを取り出す。
 そして、躊躇なくその中身を呑み込んだ。

「ぁ、が……!?ぁあああああっ……!?」

 だが、逆効果だった。
 血に対する餓えがさらに増してしまった。
 今の緋雪にとって、血は麻薬と同じだ。摂れば摂る程に欲してしまう。

「緋雪ちゃん!」

「シャマル、さん……?」

 そこで、ようやくシャマルが視界に入る。
 心配して顔を覗き込んでくるシャマルを、緋雪も苦しさに耐えつつ見返す。

「(シャマルさん……苦しいよ(美味しそう)………ッ!?)」

 直後、自身に過った思考を振り払おうとする。
 だけど、収まらない。既に許容限界を超えた血を摂取してしまった。
 誰かを視界に入れる度に吸血衝動が強くなっていく。

「ぇ……?」

「ッ―――!?」

 少し油断すれば、これだ。
 無意識に、シャマルの首筋に牙を突き立てようとしていた。
 思わず、それ以上やらかさないように、シャマルを突き飛ばす。

「けほっ……緋雪ちゃん……?」

 思った以上に強く突き飛ばしたのか、シャマルは咳き込む。
 そして、困惑した表情で緋雪を見つめていた。

「離、れて……!」

「もしかして、吸血衝動が……」
 
 シャマルの言葉に、緋雪は力なく頷く。
 目は霞み、意識も朦朧としている。
 それでも、傷つけないために必死に堪えていた。

「(吸血衝動そのものを……“破壊”する……!)」

   ―――“破綻せよ、理よ(ツェアシュテールング)

 “破壊の瞳”で、何とか吸血衝動を“破壊”する。
 根本の解決とまではいかなくても、これで現状維持は出来るはずだ。

「ふーっ、ふーっ、ふーっ……!」

「だ、大丈夫……?」

「今は……何とか……でも……ッ!」

 消しても、また溢れるように吸血衝動は襲ってくる。
 “破壊”した所で無意味なのだ。
 否、厳密には完全克服するための破壊対象が分か
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