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てか知らずか、響は続ける。
「その剣に斬られると、呪いがあるみたいで、そのまま命を奪われる。そんな剣を使っているよ」
「うええ……なにそれ」
言葉ではそう言っていながら、可奈美は自らがそれほど怯えていないことにさえ気づいていなかった。
「それ、まともな立ち合いもできないってことだよね?」
「そうなるな」
返答したのはコウスケだった。彼は水を飲み干し、コップをドンと置いた。
「ハルトも一回それにやられかけた。オレが助けたがな。変身してても効果はあるってことだ」
ウィザードでも、その能力には耐性がない。写シならどうだろうか、と可奈美は反射的に考えていた。
「恐ろしい相手だね……」
「それになによりやべえのは、そのマスターだ」
コウスケは頭を抱えた。可奈美が「どんな人なの?」と尋ねると、コウスケは静かに「お前と同じくらいの女の子だ」と前置きした。
「ハルトにナイフぶち込むのを躊躇わないくらいのな」
「え」
可奈美は耳を疑った。慌ててコウスケに聞き直す。
だが、コウスケの言葉は変化なく、
「そのマスターが、ハルトを刺した」
「刺したって……どういうこと?」
可奈美は、思わず飛び出し、コウスケの肩を掴んだ。
「ハルトさんは、ウィザードっていう形態なんだよ? 私の千鳥でも……私の剣でも大して傷を負わなかったのに、どうして普通の女の子に?」
「分からねえ」
コウスケは首を振る。響も、明るい顔つきに似合わず難しい顔をしている。
「オレたちだってキャスターと戦ってたんだ。そこまで詳しく分かんねえよ」
コウスケは「でも」と深呼吸をした。
「アサシンのマスターが何かすると、変身が解かれたんだよ。それで、刺された」
「……」
「んで、そのアサシンのマスターが、ウィザードになった」
普通の中学生がハルトを刺し、ウィザードの姿を奪った。。
そんな、猟奇的な人物がいる聖杯戦争に、自分が身を置いている。
そんな事実に、可奈美はゴクリと生唾を呑んだ。
五つの花びらからできた桜のような令呪が、可奈美に寒気を伝えた。
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