二つの黒
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アサシンの猛攻。一度呪い殺されそうになった刃に注意しながら、ウィザードも反撃を入れていく。
どんどんアサシンの攻撃で、ウィザードは噴水広場の端へ押されていく。
ウィザードは蹴りで、アサシンを自分から離れさせる。
「はあ、はあ」
ウィザードは肩で呼吸しながら、アサシンを睨む。
だがなぜか、アサシンはそれ以上の追撃をしなかった。妖刀で空を斬り、ただウィザードを見つめていた。
「……なぜ動かない?」
「ここから先は、私ではない」
「?」
首を傾げるウィザードは、背後から聞こえたガサッという草葉の音に振り向く。
美少女が、ナイフで襲ってきた。
「んなっ!」
思わずウィザードは、ソードガンで打ち返した。ただの市販品のナイフが魔力を帯びた銀に敵うはずもなく、バターのように切れた刃物はクルクルと回転しながら地面に突き刺さる。
「おのれっ!」
持ち手だけになったナイフを捨てる美少女。ピンクのツインテールと可愛らしい顔と、まどかやチノで見慣れた見滝原中学の制服。だというのに、その鬼気迫る表情に、ウィザードは恐怖を感じていた。
「まだまだ!」
ナイフ二本目を、少女は腰から抜いた。その際、彼女の手に刻まれた紋様を、ウィザードは確かに見た。
「まさか……君は、マスター?」
「ああああああああああ!」
彼女は、まるで狂ったような声を上げながらナイフを振るう。ソードガンには勝てないと彼女も理解しているのだろう。ウィザーソードガンを避け、直接ウィザード本体を狙ってくる。
『バインド プリーズ』
「悪いけど大人しくして!」
魔法陣から出現した鎖が、少女を拘束しようと飛び出す。いくら狂暴でも、魔力の鎖に生身の人間が太刀打ちできるはずもない。
「うぐっ……ああああああああ!」
だが、鎖がとらえたのは、ナイフを持った少女の右手だけだった。
そのまま少女は、可能な限り体を伸ばし、ウィザードに触れる。バインドにより勢いを殺された彼女の拳かと、ウィザードは考え、
「がっ……?」
全身の動きが止まった。
「な……に……?」
ウィザードの体から、何かが消えていく。それは、腹の部分___少女が手を当てている部分から吸い出されているようだった。
そして、その合間から覗くのは、紫の金属片だった。
まるで、懐中時計の上部分が、ウィザードの視界に入った。そして、
「あれ?」
ウィザードの姿が、ハルトのものになる。
大きなダメージを受けていなければ、変身解除を念じてもいない。
どうして。その問いの答えを得る前に、ハルトは腹に激痛を感じた。
「……え?」
質量を増した自分の服。
見慣れた服に、見慣れ
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