暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
第8章:拓かれる可能性
第248話「それでも、届かない」
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時は訪れた。
 椿の障壁が破られ、手刀が目の前に迫る。

「ふっ……!」

 間一髪、椿はその一撃を避け、“闇”の攻撃を受けながらも優輝を投げる。
 柔術による投げ技。それならば確かに導王流でも攻撃が通じる。

「ぐっ……!」

 ……転移さえなければの話だが。
 優輝は投げられる瞬間に転移し、椿を背後から手刀で貫こうとした。
 辛うじて神力による矢と弓でそれを防ぐも、吹き飛ばされる。

「くっ……!」

 間髪入れずに司が魔力弾で包囲するが、一部を受け流されて抜けられる。
 それどころか、より苛烈に転移を併用しつつ司に襲い掛かって来た。

「う、ぐっ……!」

 天巫女の特性か、防御態勢に入った事で椿より耐える。
 しかし、衝撃が貫通して司を打ちのめす。
 防戦一方になり……

「“呪黒剣”!!」

 そこで、葵と奏が復帰した。

「ふっ……!」

 吹き飛ばされ、体勢を立て直した椿も矢で援護し、何とか司から引き剥がす。

「シッ……!」

「はぁっ!」

 息を切らしながらも葵と奏が斬り込み、先程までと同じ陣形に戻す。

「(仕切り直し……!……とは、行かないみたいね……)」

 椿達全員に一度はダメージが入った。
 問題なのは、その攻撃が全て“領域”へのダメージとなっている事だ。
 普通のダメージなら無視出来ても、“領域”のダメージは無視できない。
 砕かれれば最後、普通の戦闘と同じように即敗北となる。

「(まだなの……緋雪……!)」

 戦況が好転しない事に、焦りも募っていく。
 既に限界以上の力を発揮し続けているというのに、全く通じない。
 実際には、もっと力を発揮する事は可能なのだろう。
 しかし、肝心の優輝がそれを阻止してくる。
 意識を切り替える暇すら与えてくれないのだ。

「(このままだと……!)」

 まだ戦えはする。しかし、どう見てもジリ貧だ。
 焦りが募り、さらに勝利のビジョンが霞んでいく。
 
「っ、ぁあっ……!?」

 そしてまた、連携が崩された。


















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