第六十八話 戴冠
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
の使命を果たしただけですから……。そしてタバサさん、どうぞこちらに」
「はい、アイシス陛下」
タバサはアイシス女王に近寄る。
「勇者の片割れとして貴女は生を受けました。貴女自身は天空の勇者ではないにせよ生まれてきたからには必ず意味があるはず。せめて私からお力添えを」
アイシス女王はタバサの肩に手を載せると、掠れた声で何やら呪文を唱える。それはまるで歌を歌っているかのようだった。
女王が歌うのと同時にタバサの足元から燐光が生じ、彼女の胸元に吸い寄せられる。
しばらくの間誰もが黙ってそれを見守っていたが、歌が止まった途端燐光も消え、幻想的な時間は終わりを告げた。
「貴女に眠っている魔法の力を今目覚めさせました。貴女は励めば今以上に強大な力を振るえるでしょう」
「ありがとうございます、陛下。新たに目覚めたこの力で必ず世界を救います」
「天空の兜だけでなく新たな力まで本当にありがとうございます、更にお願いがあるのですがよろしいでしょうか?」
「構いません、アベル王。今は世界そのものが闇に覆われつつある時。私に出来る事ならなんだっていたしましょう」
「ありがとうございます。それではお聞きしたいのですが天空の鎧、地に落ちた天空城、そして拐かされた我が妻の行方は何処に」
しばらくアイシス女王は目を閉じていたが、ゆっくりと瞼を開いた。
「申し訳ございません。鎧と貴方の妻……ビアンカ様の行方は闇の力に遮られていてわかりません。しかし闇の力に遮られているということは逆に闇の力が濃い場所が鎧とビアンカ様の行方かと思われます。そして天空城ですが森と渓谷に隠された秘境、その南に天空の武具に近い気を感知しました。おそらくはそこに」
ビアンカと天空の鎧は光の教団の本拠地、即ちセントべレス山だろう。
そして天空城の手がかりが見つかったのも大きい。森と渓谷に隠された秘境……きっとエルヘブンだろうからそこの南をあたれば天空城、あるいはその手がかりを掴めるはずだ。
「最後に貴方達の助言を。まずはアベル様に」
アイシス女王はアベルの方に顔を向けた。
「貴方にはきっと耐え難い決別が待ち受けているでしょう。しかしそれは苦しみに満ちているだけではなく新たな希望への始まりです」
「胸に、刻みます」
続いて女王はレックスに微笑みかけて、
「レックス様に言う事は、勇者であろうと乗り越え難い試練が訪れるでしょう。しかし貴方には如何なる時も消えない輝きがある。それを忘れないで」
「勇者として精一杯頑張ります!」
そしてタバサに女王は優しく、
「私は貴女の力を目覚めさせました。しかし見誤ってはいけません。貴女の本質は知恵と慈愛なのだと」
「必ず忘れません」
最後に私の方を女王は向いた。
どんな言葉が私には投げかけられるのだろうか。
「ミ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ