第六十八話 戴冠
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の旅に向かう前に一度テルパドールに向かう。そこで天空の兜を譲ってもらう」
「でも目的は兜だけじゃないんですよね?」
内心タバサの聡明さに舌を巻く。
テルパドールという国がどのような国なのか予め理解していたに違いない。
「そうだ。兜だけでなく鎧ーーそして天空城がどこにあるのかも予言してもらう。それが今回の目的だ」
「やった!これで旅が楽になるや!」
「お兄ちゃん、遊びに行くんじゃないんだから」
はしゃぐレックスをタバサが嗜める。
その光景を微笑ましく思いつつ、
「旅を楽しむのも大切よ。旅を楽しんでたらいつの間にか世界を救っちゃってたぐらいの心構えでなきゃ」
世界を救う使命を背負っていても2人が幼い子供である事には変わりない。
使命を意識しすぎるあまり彼らが旅を苦痛に満ちたモノとしか認識出来なかったのなら、それはきっと彼らの心を砕く。
だからその為にも2人の肩の力を抜けるだけ抜いておきたい。
「じゃあ、行こうか。テルパドールへ」
私とアベル、レックスとタバサはルーラでテルパドールに訪れた。
ここに訪れるのは何年振りだろうか。最後に来たのがだいぶ前だから記憶は薄れているけれどそれでも全体的な城下町の平穏さは以前来た時と変わっていない。
最近の魔物の凶暴化にも関わらず平穏を保てているのは、ここの女王であるアイシスが結界を張っているからだろう。
「よくぞいらっしゃいました。アベル様達」
私達の姿を見るなり、アイシス女王は笑顔で歓迎してくれた。
唐突な来訪だったにも関わらず驚いている様子が何一つ無い事から事前に予知していたのだろう。
「そしてそちらにいらっしゃるのが当代の勇者様でございますね」
レックスを、そして彼が携えている天空の剣と盾を見るとアイシス女王は恭しく頭を下げた。
「はい、僕が勇者です」
「では天空の兜をお持ちいたしますので少々お待ちを」
アイシス女王はしばらく宝物庫へと消えていたが、天空の兜と共に戻ってきた。
「勇者様、頭を垂れてくださいまし」
レックスは言われた通り、アイシス女王に傅く。
「ああ……。歴代テルパドール王家に受け継がれていた悲願、当代で果たせる歓びを何と言い表しましょうか。勇者よ。今こそ貴方にこの冠を還します。どうか闇に覆われしこの世界を照らす光に貴方がならん事を……」
アイシス女王はそっとレックスの頭に兜を載せる。
最初はサイズが合っていなかった兜は瞬時にレックスの頭に合うように縮んだ。
そして兜は金色の光を淡く、弱く放つ。それに呼応して剣と盾も金色の光を放った。まるでその様子は同胞との再会を喜んでいるように見えた。
「アイシスさん、ありがとう!」
レックスは勢いよく立ち上がるとアイシス女王に深々とお辞儀をした。
「いえ、私は王家
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