第六十八話 戴冠
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たら。どうしてもそんな不安が頭から離れない。
自分がやっている事が実は全然見当違いだったら、私は役目すら果たせずただ流れに従って戦うだけの存在になっているのでは。
…………私はそれが怖い。
唯一確かなのは自分が行動を起こしているという事実だけで、私が正しかったかどうかはその積み重ねが証明すると思う事しか気持ちを落ち着かせられなかった。
最初は心地よかった熱気は今はとても暑苦しくなったから、のぼせないうちに浴槽から上がって水を浴びた。
自室に戻ってベッドに体を預ける。このまま寝ちゃいたかったけどやけに目が冴えて眠れない。
何か食べに行こう。そうしたら眠くなるかもしれない。
食堂に行くために廊下を歩いているとふとアベルと出くわした。
「あら、お疲れ様」
全体的に生気がない。相当疲れたんだろう。
「ミレイか……。やっと終わったよ……」
「随分と報告に時間かかったわね」
いくらこれまでが長いと言っても報告に行ってからこれまで結構間があったはずだ。
「報告だけじゃなくてこれからの方針の打ち合わせやルドマンさんの所との話し合いもあったから……」
グランバニアとルドマン商会は協力関係を結んでいるがそれについて予算とかアベルがこれまでに経験したことがない話し合いをさせられたらしい。
「前言撤回する?」
「まさか。これぐらいで根を上げるわけには」
生気を使い果たした顔に笑みを浮かべるがぶっちゃけ無理してるようにしか見えない。
「あまり無理しすぎないようにね」
アベルは忍耐強い分無理をしすぎてしまう傾向があるからさりげなく注意しておく。
「これから私ご飯食べに行くんだけれど良かったらアベルも一緒にどう?」
「ありがとう、けど大丈夫だよ。これから剣の鍛錬をしに行くから」
たった今無理しすぎるなと言ったのをもう忘れたのか。いや、彼の中ではあくまで剣の鍛錬は気分転換で無理をして行うものではないのだろう。
きっとそうに違いない。
「訓練に熱が入りすぎないようにね。それじゃあ、また明日」
「また明日」
一応念押ししといて私とアベルは別れた。
翌日。
私とレックスとタバサ、そしてアベルは今後の方針について話し合う為に執務室に集まっていた。
「当初予定していた方針はこの世界のどこかに堕ちた天空城の捜索だった。けれど一旦僕達の旅の本来の目的に立ち戻る必要がある」
「もくてき?」
レックスが怪訝そうな声をあげる。決してレックス自身も無関係な話ではないのだが、思い当たらないらしい。
「元々私達は天空の勇者とその装備の探索の旅をしていたーーそうよね?」
「そうだ。天空の剣と盾は今この場にある」
まだ手元にないのは鎧と兜で、その内の兜はどこにあるのかは既にわかっている。
「’天空城捜索
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