大きな罪
過去
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「ちょっと、私について来てくれる。」
「いいけど、どうした。」
私は無言のまま、進んで行った。着いた場所は、誰もいない部室。
「話って、何。柏木さん。」
「あなたが、姿無き犯罪者ですよね。高畠さん。いえ、新井祥さん。」
彼は笑みを浮かべながら、手を叩いた。
「おめでとう。君は依頼を完遂した。」
「あなたは一体、何をしたかったの。」
「僕はただ、君たちに思い出してほしかっただけだ。」
「だからって、関係ない人を巻き込む必要はなかったでしょう。」
今まで、多くの人が巻き込まれてきた。この人の自分勝手な都合で。
「それと、君はまだ全部の謎を解いていないのだが。」
「何が残っているの。」
「三月十五日。」
何の日付なのだろう。考えていると、祥が話し始めた。
「やっぱり、覚えてないのか。」
「何を。」
「わすれなぐさ。」
確か、私達四人の合言葉になっていた花だった。意味は。
「私を忘れないで。」
「思い出したようだな。」
その時、失っていた思い出が、走馬灯のように私の中に流れ込んできた。そして、涙が自然と頬を伝った。
「ごめんなさい。」
「もう、いいよ。ありがとう、見つけてくれて。」
昔と変わらない、祥の言葉。それが、心に沁みた。
「ありがとう。」
「また、昔みたいに過ごすことが出来ればいいと思うのだが。」
「こちらこそお願いします。」
祥が手を差し出して、彼の手を握った。
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