大きな罪
存在
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息を吐いて、ベットに座った。目の前にある本棚をふと見て、その中に並んでいるアルバムを手に取った。
「懐かしいな。」
幼い頃の私が、写真の中で笑っていた。ふと、一枚の写真が目に留まった。
「これは。」
それは、四人の小さな子供達の集合写真だった。中央に私と亡くなった親友が。その両脇には、男の子が一人ずついた。四人とも楽しそうに写っていた。
「この男の子達。どこかで見たことがある。誰だったかな。」
思い出しかけているのに、名前が喉まで来ているのに。なのに出てこない。それが悔しかった。とても大切な人だったと思うのに。
「思い出せないな。」
その写真を抜いて、アルバムをしまった。そして抜いた写真は、手帳にはさんでおいた。
「一体、誰なんだろう。」
そんなことを考えていた。
「母さんが帰ってきたら、聞いてみよう。」
きっと知っているはずだから。
「今日は、どうしようかな。」
依頼はきてるはず。だけど。
「ただいま。」
母さんが帰ってきた。今日は随分と早い。
「お帰り。今日は早いね。」
「仕事が少なかったから。」
「そっか。」
母さんが働いている所では、こういうことがよくあるそうだ。小さな工場だから、仕方ないのだそうだ。
「そうだ、母さん。教えてほしいことがあるんだけど。」
「何を教えてほしいの。」
「ちょっと待て。持ってくるから。」
私は写真を取りに、部屋に戻った。そして、写真の入った手帳を持って、母さんの所に戻った。
「これなんだけど。」
「これが、どうしたの。」
「この男の子達って、誰なの。」
「覚えてないの。」
「全然。」
母さんがここまで驚くということは、私達四人はとても仲が良かったのだろう。
「こっとの子は、新井祥君。」
親友の隣の男の子を指差しながら、母さんは言った。
「そしてこっちが、山口宏君。」
山口宏。まさか、同一人物だったの。
「玲。どうしたの。」
はっと気がついて、首を振った。
「なんでもない。ありがとう、母さん。」
「そう、ならいいけど。」
そうだこの子達はどうしたのだろうか。聞いてみよう。
「母さん。」
「何。」
「この男の子達は、どうしたの。」
「確か、小学校に入る前に引っ越していったの。それ以来、もう二人には会ってないの。」
「そうなんだ。ありがとう。」
二人は随分と前に、引っ越して言った。私はそれを忘れていた。そして今、この中の一人と一緒に過ごしている。偶然なのかな。わからないけど、とりあえずもう一人の方を探そうか。
「携帯。どこだっけ。」
あった。幸に頼んでみよう。彼女は人を探すのが得意だったし。
メールの本文に、今のことを打ち込んで送信した。しばらくすれば、返事が来るだろう。
「宏と祥
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