この素晴らしき大道芸に拍手を!
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ヒートアップする二人に、ハルトは小声で話しかける。
「その……今日はありがとうね。俺、今まであちこちでやってきたけど、ここまで稼げたことはないからさ、その……稼ぎ山分けしない?」
「え?」
「い、いいえいいえ」
キラキラした目をするアクアを防ぐように、カズマが割り入る。
「それはあくまでそちらが稼いだものですので、どうぞお納めください」
「でも……」
「気にしないでください」
カズマが、こちらが出した金をハルトの缶に戻す。アクアが恨めしそうにそれを眺めているが、カズマはそれを無視し続けていた。
「ねえ」
「ん? ああ、響ちゃん」
ずっとハルトたちの大道芸対決を見ていた響が、ティッピーが入った鞄を渡す。
「お疲れ様。なんか、途中からどんどん凄まじくなっていったけど」
「ああ。変な所見せちゃったかな」
「いやいや。面白かったよ」
「そう言ってもらえると嬉しいよ」
ハルトはティッピーと缶を入れ替える。鞄を背負い、ティッピーを胸に抱いた。
「さてと。今日の稼ぎも終わったし、俺は帰ろうかな」
「え? まだ正午だよ?」
「いやあ。さっきカズマ君の爆発で、今日の装備ほとんど使っちゃったんだよね。ぶっちゃけあれ、とっておきの切り札だったから」
「ほえ〜でもすごかったね。私も、ハルトさんがとうとう殺人やっちゃったかと思ったよ」
「俺も死ぬかと思ったぜ」
喧嘩しながら突っ込むカズマ。
「よし君たち、そこに整列しようか。今から一人ずつ爆発してやる」
「うわっ! こいつ、頭がおかしい爆発野郎になった!」
「どうすんのよ? ここは誰かに盾になってもらうしかないわね」
「そうだな。よし! アンタ、悪いけど盾になってくれ」
「ええ? 私?」
カズマとアクアの盾にされる響。彼女は「やめてとめてやめてとめてやめてとめて!」と首を振っている。
ハルトはため息をついて、
「冗談だよ。第一、もう俺に爆薬なんてないし」
「そ、そうですよねえ、あっははは」
カズマが本気で安心した表情をしている。
爆発魔なハルトが、そのまま踵を返そうとしたときだった。
「あの。もし」
観客の中にいただろか。あるサラリーマンが、こちらに名刺を差し出していた。
「今のお二方のパフォーマンス、拝見いたしました。私、01プロデュースの鎌田と申します」
「はあ……」
「あ、どうもどうも……」
名刺をもらったハルトとアクアは、それぞれ礼を返す。
鎌田と名乗った男は続ける。
「ぜひ、お二人には、わが社の看板になっていただきたく……」
「それって……スカウトってこと?」
アクアが興奮気味に鎌田へ顔を近づける。
鎌田は抵抗なく頷く。
すると
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