この素晴らしき大道芸に拍手を!
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いかけた。
「君って、あの女の子と友達……なんだよね?」
「一応な」
「ちょっと……扱いひどくない?」
「ああ?」
カズマは、ハルトに疲れ果てたような目を向けた。
「だったらアンタに上げるよ、あんな自称なんとかの女神! 毎回毎回変なトラブル持ち込んでくるし、おかげさまで俺の損害も増えるし! もしも人生やり直せるんなら、あんな奴絶対にごめんだね!」
「カああああああズマさあああああああああああん!」
「……ねえ、女神さま、泣いてるけど……勝負の途中なのに泣いてるけど……」
「いいんですよ、あんな奴。それより、どうすればいいですか?」
横から聞こえてくる自称女神の悲鳴を徹底的に無視するカズマさんへ、ハルトは少し感心さえ思えてしまった。
ハルトは見なかったことにして、改めて指示した。
「えっと、ここに入ってください」
箱の後ろから、カズマが入る。頭、体、足にかけて三等分にしているケースの下二つを蓋し、顔だけが覗ける状態になる。
「はい。それでは皆さん。今彼は、絶対にここから逃げられません」
ハルトは、箱の側面にある蝶番を示す。
「それでは、これよりこちらの方の脱出劇を行います!」
ハルトは、カズマに「大丈夫ですからね」と声をかけて、顔の蓋を閉じた。
「さて、まずはこちら」
小道具の剣を取り出す。昨日、ラビットハウスでまどかにも行ったものだった。
一通り串刺し、箱の移動をしても、カズマは無事だという手品で、ある程度の拍手喝采はいただく。
一度見たはずの響も大きな拍手をする一方、自称女神は膨れっ面で手を叩いていた。
「それでは最後に、派手な花火を打ち上げましょう」
「え?」
全く話していない内容に、カズマも目を白黒させていた。
少しいたずらごころが芽生えたハルトは、カズマを閉じ込めたまま、
「最後に! この箱を爆発させます!」
「ちょっ!」
「え?」
「はぁ?」
響をはじめ、観客は茫然。
自称女神は飲んでいたジュースを吐き出し。
カズマは白目で悲鳴を上げた。
「え? ちょっと、そんなこと聞いて……」
ハルトは、カズマの言葉を無視して蓋を閉める。
「おい! ちょっと! 爆発って何? 俺、どうなっちゃうの?」
「プークスクス! ちょっと、ウケるんですけど! カズマさん、いきなり爆発オチとか、チョーウケるんですけど?」
友達を爆発させるという言葉に、大笑いする自称女神。
「あのー……」
響が彼女に尋ねる。
「爆発するって言われてるのに、笑ってるのはないんじゃない?」
「だって! あんなに私をバカにしてたのに……爆発オチって、チョーウケるんですけど!」
「ええ……」
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