第1部
アッサラーム〜イシス
眠らない町
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姉ちゃんとしてルカにしてあげたいだけなの。立派な商人になるつもりなんでしょ? だったら周りの人をもっと頼んなきゃ。多分お父さんだってそう言うよ」
「……うー、まあ、そうかも。わかった、ありがと」
少し考え込んでから、ルカは素直にお礼を言った。そして再び顔を上げる。
「でもさ、アネキ。アネキはアネキで色々やることあると思うから、アネキも困ったことがあったらおれに言えよな。おれには師匠もいるし、この街で知り合った商人仲間も何人かいるからさ」
「うん、ありがとう」
私はにっこりと微笑んだ。いつのまにかこんなに逞しくなっていたなんて想像もしてなかったけど、実際に会ったらやっぱりルカはルカのままで、ほっとした。
「あ、そうだ。ちゃんとお母さんやエマたちにも時々顔見せるんだよ? 心配してたんだから」
「わかってるよ。もう少ししたら仕事も落ち着くから、そしたら一度家に戻るよ」
キメラの翼使ってな、と付け加えた。さすが商人の卵、一度行った村や町に一瞬で行ける便利アイテムのことは知っているようだ。
「明日は砂漠に行けそう?」
「ああ。今日はいまのところずっと天気も安定してるみたいだから、大丈夫だって」
「そっか。じゃあ明日は予定通り出発でOKだね。もう今日一日何したらいいか皆悩んでてさ。結局今まで劇場でバイトしてたよ」
「へえ〜。いいなあ。てか、よく入れたね? あそこ関係者以外立ち入り禁止なはずなのに」
「シーラが昔そこで働いてたんだって」
言われて、ぽんと手を叩くルカ。
「あー、昨日のバニーガールの姉ちゃんか。確かに見たことある格好してると思った」
「そう、それで中に入ったんだけど、そこにビビアンさんっていう踊り子が来て……」
「ええ?! ビビアンって、姉ちゃん、あの人と知り合いなの?!」
「知り合いなのはシーラだけどね。それで彼女を見たナギがもう目の色変えちゃって……」
そう言うと、ルカは納得したように頷いた。
「ああ、そりゃ、あんな人を見たら、男の人なら誰でもそうなるって。だって、劇場に行ったことない俺ですら知ってるくらい人気者だよ」
「そうなの? 確かにすっごい美人だったけど、ユウリは全然反応なかったなあ」
私の言葉に、ルカは考え込んだ。
「……うーん。きっと勇者さんて有名人じゃん? たくさんの女の人に囲まれたりしてるから、美人に見飽きてるんだよ」
「あー、なるほどね」
「でもさすがに、砂漠の城の女王様の美しさには驚くんじゃないかなあ。絶世の美女だって噂だし」
「砂漠?! 砂漠にお城があるの?」
私は興味津々でルカの話に耳を傾ける。
「うん。イシスって町があってさ、そこに……」
こうして
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