流される……時代の流れに……
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ません! おい、お前も謝れって!」
「アンタは黙ってて! この程度のレベルの芸なんて、この私に喧嘩を売っているようなものよ!」
そのままパフォーマンス執行妨害の女性は、大股でこちらに歩いてくる。響を押し分けて、
「皆さん。この女神たる私が、真の芸ってものを見せてあげるわ!」
何を言っても止まらないな、とあきらめたハルトは、噴水の前を彼女に譲る。どや顔を浮かべた自称女神は、
「いよっ! 花鳥風月〜!」
両手、右足(どうやったのかは不明)に持った扇子より、小さな噴水を引き出させた。
「……へ?」
「うわあ!」
響が目をキラキラさせて、自称女神の芸に拍手を送っている。
それだけでは終わらない。彼女はそのまま動いて見せた。
様々なポーズを取り直し、右足に持っていた扇子を蹴り上げて頭上でキャッチ。再び扇子から噴水が湧く。
と思ったら、今度はハルトを扇子で指した。
すると、ハルトの頭上からどこからか扇子が置かれた。
「え? これどこから?」
ハルトも理解できぬ間に、その扇子から水が噴き出す。
「んな?」
「どう? 理解できないでしょ? これが本当の芸ってやつよ」
天狗になった自称女神は、ハルトをどや顔で見下ろした。
「アンタの、そんな陳腐なものじゃ、芸って呼べないのよ。もっと女神たる私のように人知の外の技術を身に着けて出直してきなさいな」
「……どこの誰かは知らないけど」
大道芸は副業。本業はファントム退治の魔法使い。
それでも、プライドを傷つけられたハルトは、少し燃えていた。
「それは俺に対する挑戦状ってことでいいんだよね?」
「ええ。この公園は、私の縄張りなの。ほら、だから出てって! お客は全部私のだから、早く出てって!」
「……いいでしょう。なら、お……わたくしにも考えがあります」
頭に血が上ったハルトは、堂々と彼女を指差した。
「この場所をかけて、大道芸対決だ?」
「望むところよ?」
「……なんか、ほんっとうにすいません……」
四つん這いになっている彼女の連れの少年の背中を、響が優しくさすっていた。
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