流される……時代の流れに……
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か。その疑問をぶつけると、彼女は「私、今フリーターで、コウスケさんの研究を手伝っているだけだよ」と答えた。
「いやあ、コウスケさんが『今日はお休みでいいからな。オレは大学に行かなきゃなんねえし』って言ってたから、暇で暇でしょうがないんだよね。ねえ、良かったら手伝うよ?」
「ん? ホントに? 助かる……いや、ちょっと待って」
ハルトは準備の手を止めた。
「今日はせっかくの休日なんでしょ? なら、響ちゃんがやりたいことすればいいんじゃない?」
「え? でも私とくにやりたいこと……あ、ご飯食べたい!」
「うん、ファミレスに行きなさい」
「ええ……潮対応……私、呪われているかも」
「なぜそこまでダメージ受ける? ……ねえ、手伝わせるのはちょっと抵抗あるから、見ていかない? あ、あとついでにティッピー預かってて」
ハルトは響に、ティッピーが入ったバックを渡した。響はしばらくティッピーを撫でていたが、ハルトが咳払いをすると、こちらに向き直った。
「はい。それでは皆さん。ただいまより、わたくし松菜ハルトによるショーを開演します!」
響の他には、数名の人が足を止めた。
「それではご覧ください。まずは、この水晶玉」
ハルトは、手のひらサイズのガラス玉を取り出した。
「私はこれより、この玉を動かします。簡単なものですが、取り落とさずにパフォーマンスを成功いたしましたら、どうか拍手をお願いいたします!」
ハルトは、水晶玉を中心に両手を動かした。まるで胸元に浮かんでいるように見せているものだが、その実は指で支えている。だが、それを高速で入れ替えることで、浮かんでいるように見せているのだった。
理屈は初見で分かっても、簡単に真似できるものではない。物珍しさから、少しずつ人が集まっていく。
「すごいハルトさん! どうやっているの?」
響はネタが分からないようだった。
「はい、次の芸をお店します!」
粗方終わらせたハルトは、水晶玉をしまって、ハンカチを取り出す。何もないところからリンカーネーションを取り出し、一部の観客がどっと沸く。
「何よ、その程度!」
その時。水を差す声が聞こえた。
「それ程度の芸なんて、大したことないわ!」
「おい、止めろよ! 邪魔するなよ!」
甲高い女性の声が、ハルトのパフォーマンスを止めた。
群衆が分かれ、その正体が明らかになる。
「そんなものより、もっとすごいものを見せてあげるわよ!」
「おい、よせって!」
見事な青い髪の女性が、こちらに自信満々な顔を向けていた。彼女の隣には、緑のジャージを着た少年が連れとこちらを見比べている。
「ああ……すんません、すんません! ウチの連れが、ほんっとうにすん
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