流される……時代の流れに……
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がら、川に流されていく。
「「「「ティッピー?」」」」
ティッピーは、どんどん下流の方へ小さくなっていった。
遅刻確定した三人と別れたハルトは、引き揚げたティッピーを胸に抱いた。
「さてと。今日は公園で大道芸をしようと思っているんだけど」
タカヒロに紹介された公園の入り口に設置されているベンチで、ハルトはティッピーを見下ろした。
「お前、大道芸のアシスタントとかできるか?」
アンゴラウサギの頭を撫でても、この毛玉はこちらをつぶらな瞳で見返すだけだった。
「まあ、出来ないよね」
ハルトは微笑し、ティッピーをチノのように頭上に乗せてみる。だが、意外とバランスが取れず、ティッピーは頭上から零れ落ちた。
「チノちゃんってもしかして、バランス感覚最高か?」
ハルトは胸に抱えたまま、公園の中心の噴水広場へ移動した。
「ふう。ここでいいかな」
ハルトの見滝原での生活が始まってからしばらく経った。秋も過ぎ、冬を迎える準備として、まず木々が赤く染まり上がっている。
落ち葉が水面を漂うのを見下ろしながら、ハルトは呟いた。
「噴水か……今時噴水があるなんて珍しいよね」
ハルトがバイクを止めたその場所は、見滝原の繁華街の中心地だった。クリスマスにはツリーが噴水の中央に飾られるとココアから聞いたそこで、ハルトは荷物を取り出した。
「さってと。久しぶりにやりますか」
準備完了。ハルトはシルクハットを被り、咳払いをした。
お金入れを置いたところで、ハルトはティッピーに語り掛ける。
「そういえばここ、水場だけど、お前は濡れたらしぼんだりするの?」
ティッピーは怯えたように、全身を震わせる。
「冗談だよ、そんなことしないから。ま、バックの近くにいてよ」
するとティッピーは言葉を理解したのか、空っぽのバックに収まる。
もしかして、言葉通じているんじゃないと思いながら、ハルトは通行人たちへ向き直った。
「さあさあ皆さんご注目!」
平日の昼間ということで、観客はそれほど多くない。サボっている外回りのサラリーマンや、買い物帰りの主婦、授業がない大学生、
興味ありげな視線を送ってくる立花響だった。
「って君はこの間の……たしか、響ちゃん?」
「あ、どうも!」
一瞬顔を忘れたハルトは、元気に挨拶をしてくる彼女に唖然とする。
先日会った時とは違い、ラフな黄色い服装の彼女は、ジロジロと並べられた物々を見物している。
「へえ。ねえ、これから何かやるの?」
「ああ。今から大道芸をやるところ。響ちゃんはどうしてここに?」
前回会った時、高校生くらいだと思っていたが、学校はないのだろう
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