流される……時代の流れに……
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アさんはいつまでもココアさんですね」と呆れながら、両手でコップの牛乳を口に運ぶ。小動物のような動きを目で追っていると、チノが「何です?」とジト目で見てくる。
「いや。なんか、本当に姉妹みたいだなって」
「!」
軽く言った言葉が、ココアの目をキラキラに輝かせる。
「チノちゃん! 聞いた? ハルトさんが、私たちのこと姉妹みたいだって!」
「ココアさん! 引っ付かないで早く朝ごはん食べてください」
「チノちゃ〜ん」
ものすごい勢いでチノに抱きつくココア。ハルトがそれを眺めていると、いつの間にか朝食が胃袋の中に収まっていた。
「おやおや」
じゃれ合っている二人を横目に、ハルトはそのまま食器を片付ける。
「あれ? そういえば可奈美ちゃんは?」
ハルトの問いに、チノがココアに抵抗しながら答えた。
「もう出ていきましたよ。可奈美さんはいつも朝六時には出ていますから……ココアさん、抱きつくより先に顔洗ってください」
「え? 大丈夫だよ。ね、ハルトさん。まだ時間あるよね?」
「えっと……ココアちゃんの学校って、確か八時半にスタートだよね?」
「うん」
今日も昨日も明日も眩しい柔らかい笑顔で、ココアが頷いた。
ハルトは続ける。
「で、ここから大体歩いて三十分だっけ?」
「そうだよ?」
「今八時十分だけど」
ココアの笑顔が固まった。まるで彫刻のように固い表情は、だんだん青ざめていく。
やがて。
「ヴェアアアアアアアア?」
卒倒した。
顔文字にすると0言0って感じかなと思いながら、ハルトは「急いでね」と、二人の食器も回収したのだった。
「もう……! チノちゃん!」
ラビットハウスの玄関には、まどかが迎えに来ていた。
チノと同じ見滝原中学の制服を着た彼女は、その場で足踏みしており、そのまま走り出そうとしていた。
「あ、ハルトさん。おはようございます」
「まどかちゃん。おはよう。……大丈夫? 時間」
「遅刻ギリギリです。というか、もう遅刻です」
まどかが少しふくれている。そこへ、ハルトの背後から準備を終えたココアとチノがやってきた。
「ごめんなさいまどかさん。遅れました」
「うえええええん! ごめんねチノちゃんまどかちゃん!」
両手で目を覆いながら、ココアと肩がぶつかる。バランスを崩したハルトは、そのまままどかと頭をぶつけた。
「痛っ!」
「きゃっ!」
哀れ、まどかの手にあった鞄は、その際に投げ飛ばされ、チノの顔面に見事命中。
「ガッ」
可能な限り頭に乗せておきたかったアンゴラウサギ、ティッピーはそのまま……
『流される……時代の波に……』
謎の渋い声を発しな
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